「それでは今より―――
我がアスタイル王国にて、
グレメン国、シーライド王国、
シュロランド教国との合同会議を
始めます。
議題は、各国における召喚者及び、
非戦闘系スキルへの差別待遇の
改善で……」
島村の処刑から1ヶ月ほど経過した後、
アスタイル王国の第8夫人の次女、
ステラ様を司会役兼代表として、
会議がスタートした。
アスタイル王国の代表には、召喚者である
俺や
そして王族とはいえ、末端であるステラ様が
代表に選ばれたのは―――
実はアスタイル王国の国王は、実権を狙う
アンク王女、グリーク宰相が手を組んで、
軟禁していたようで、
さらに動けなくなるよう、薬も盛られて
いたらしい。
国王は解放されたものの、国際会議までに
回復は出来なかったようで、
そこで今回は俺たち召喚者と関わりの深い
彼女が選ばれた、というわけだ。
そして会議はというと、すでに俺たちが
各国を回り……
訴えていた内容でもあったのと、
グレメン国、シーライド王国ではその国の
抱えていた問題を解決していた事、
シュロランド教国では俺がひと暴れした
経緯もあり―――
特に反対もなく、議題はスムーズに
進んで行った。
「グレメン国はこの内容に同意する」
「シーライド王国にも異議は無い」
「……我がシュロランド教国も、
問題は無いと考える」
差別・待遇改善についての条約は、
滞りなく調印が成され、
後はいつこれを公表するか―――
それは調整次第という話になったが、
「じゃあ、表面上はこれでいいですね」
俺がそう話すと、ステラ様は顔色を
青くし、
「ん?」
「表面上?」
「どういう事か」
他の三ヶ国の使者たちから疑問の声が
上がる。
「これからが本題……
という事です。
我々はシュロランド教国で、低スキルの
方々が―――
殺し合いをさせられているところを
見ました。
実際に僕も、それに強制参加させられて
いますしね」
そこで俺は各国の使者たちの顔を見回し、
「実は当初、こちらがアスタイル王国に
要求した計画があったんですよ。
『再発防止プログラム』というもの
ですけど。
僕たちのように召喚されて、非道な行いを
受ける存在を二度と出さないためには
どうしたらいいか……
それを考えたんです」
そこで熊谷さんと白波瀬さんが立ち上がり、
「召喚させなければいい。
そのために最も確実な方法は―――
この世界の知的生命体を全滅させる事」
「ただこの方法は、あたしたち召喚者が
全員で取り掛かったとしても……
ちょっと現実的では無かったので、
封印されていたんです」
2人の説明に、各国の使者は目を
白黒させる。
そこで俺がシュロランド教国の使者に
向かって、
「ですが、シュロランド教国がその解決策を
示してくれました!
自分たちで殺し尽くすのが不可能ならば、
この世界の人間同士殺し合わせればいい!
それで確実に数は減らせます!!」
そこで俺は一息ついて、
「というわけですので―――
各国にはこれから国家間で、
戦争をして頂きます」
俺の言葉に、各国の代表たちが
立ち上がった。