「その日」は突然訪れた。

ある日、地球の周りに何隻もの宇宙船が現れ、地球に通信を送ってきた。

何千光年も離れた星からやってきた「彼ら」は地球に関する情報をすでに収集済みのようで、地球人でもわかる通信手段と言語で呼びかけてきた。

だがそれは「彼ら」の友好の意を示すようなものではなく、「これから地球を滅ぼす」という内容…というか通告であった。

とはいえ、いきなり滅ぼすのも望ましくないと判断したのか、「一度地球人との会談の場を設けたい」と打診があった。

そこで各国首脳が勢ぞろいして会談の場に臨むことになったが、「彼ら」には地球の大気が猛毒らしいとのことで、ネットを使った会議システムでの会談となった。

会談が始まり、「彼ら」が地球を滅ぼそうとしている理由を告げる。

「地球人は好戦的で、『国』同士で争い、統一した政府すら樹立していない」

「しかし技術は発展し、宇宙に進出しようとしている」

「そんな危険な種族は滅ぼさねばならない」

とのことだ。

それを聞いた各国首脳はその場で醜い主導権争いを始めたが、気がついたら会談の通信が切れていた…

失敗に終わった会談の翌日。

「彼ら」の地球への攻撃が始まった。

「彼ら」は衛星軌道から国という国、町という町を攻撃し、地表は瞬く間に瓦礫と廃墟と化した。

しかし「空からの攻撃だけ」というのが幸いして地球人は地下に潜り、反撃の機会を探っていた。

そして皮肉にもこの事件がきっかけで、全世界で一丸となって「彼ら」への反撃の準備を進めた。

そして数年。

多くの犠牲と苦労の末に攻略法を発見し、ついに「彼ら」を地球圏から排除することに成功した。

地球上に平和が戻り、そして人類は有史以来一度も成しえなかった「世界統一政府」の樹立に至った。

「世界統一政府」の樹立記念式典の日。

まさに式典が始まろうとしているその時、突如上空に巨大な宇宙船が多数現れ、あっという間に空を覆いつくしてしまった。

「彼ら」が再びやってきたのだ。

…最初に気づいておくべきだったのだ。

遠い宇宙からわざわざ地球に来るだけの科学力と技術力を持っているのだから、あれだけで終わるはずがなかったのだ。

「彼ら」はいよいよ本気を出して、「危険な存在」として地球を滅ぼすつもりでやってきたのだ。

式典に集まった関係者も、その中継を見ている世界中の誰もが言葉を出すこともできず、ただその異様で圧倒的な光景を見ているだけしかできなかった。

そして絶望が始まる…