始末書
フィオナ・エーデルワイス・ヨルアサより、国王陛下にご報告申し上げます。
日頃より魔法兵器開発局に対し、多大なるご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。この度、当開発局にて取り組んでいた魔法兵器の試作において、重大な不手際が発生したことを深くお詫び申し上げます。
王国歴345年白蟻の月6日、白昼、当局において評価試験を実施しておりました、試作可食家屋乙型(自立走行試験機)が暴走する事態が発生し、当該兵器は制御不能となり、実験場敷地を逸脱し、当局の指揮下を離脱しました。
兵器が暴走した試験場周辺では、住民の避難誘導が行われておりますが、人的被害が発生する危険性が非常に高くなっております。また、当該兵器は非常に強力であり、暴走が続く限り物的被害も拡大する恐れがございます。
さらに当該兵器はシンダーナ神聖帝国方面へ向け前進しているものと思われ、両国間国境を侵害する可能性も否定できず、その場合、国際的な問題へと発展し、王国と他国との外交関係に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
このような事態を招いたことは、開発局の管理体制および安全対策の不備によるものであり、責任は重大であると痛感しております。再発防止に向けて、以下の対策を直ちに実施いたします。
一、開発中の魔法兵器の安全性再検証
開発中のすべての魔法兵器について、安全性と制御魔法の再検証を行い、同様の事故が起こらないよう徹底いたします。
二、緊急時の対応手順書の整備
暴走した魔法兵器の捜索および無力化のための具体的な手順を定めた手順書を整備し、対応体制を確立いたします。
三、開発局員への再教育
開発局員に対し、安全意識の向上と危機管理能力の強化を目的とした研修を実施いたします。
今回の事故を重く受け止め、魔法兵器開発局として深く反省するとともに、再発防止と責任の遂行に全力を尽くす所存でございます。
以上、取り急ぎご報告とお詫びを申し上げます。
ヨルアサ王国万歳。王家に栄光あれ。
王国歴345年白蟻の月7日
魔法兵器開発局最高責任者
フィオナ・エーデルワイス・ヨルアサ