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第20話 そして2学期中間は始まった③

 そして中間考査初日、これだけ頑張ったからとりあえずは大丈夫だろう。少なくとも俺はいけるが、きいと海南さんが少し心配だ。今日はほぼ寝てないみたいだし、今日の1時間目には1番難しい英語表現がある。これで点数が稼げるかが勝負の分かれ目だ。


「きい、大丈夫か?」

「ふわぁぁぁ。ひい君。ちょっとやりすぎちゃったみたい。めっちゃ眠い。」


そんなに目を真っ赤にしていたら、少し心配になってくるぞ。2年生に上がる意思はあるみたいだし、俺もできる限りのことは全て教えた。本人も問題集を何回も解いたみたいだから、欠点ではないことを願おう。


 そして、海南さん。こちらは結構元気そうだ。さっきから桜と熊野さんと問題の出し合いをしている。奏が頑張ったんだな。


「お前ら、席に着け。」


シオちゃんが立ち歩いている生徒に注意しながら入ってくる。


「えーっと、今日から中間考査です。皆さん、欠点を取らないように、不正行為のないように頑張ってください。じゃあ、また後で来ます。」


そう言ってシオちゃんが出ていくと、みんなぞろぞろと移動して、教室のあちこちで喋り始めた。自由になった高校生って何でこんなにうるさいんだろうか。


「久志、自信ある?」

「あったら今から教科書初見じゃねぇよ。」

「あんまり出ないから良くない?」

「一応、ちょっとは出るだろ。」

「そうかな?まあ、お互い頑張ろうね。」


桜は余裕そうだから、少し羨ましい。こんなに楽な気持ちでテストを受けてみたいものだ。教科書の内容をある程度確認して、トイレに向かう。この時間じゃないと戦場になるからだ。


「よう、カレン。テストできそうか?」

「あんましかな。これが全部イタリア語やったらええのに。」


確か、イタリアとのハーフだっけ。英語は苦手なのか?


「今回も満点取れるかな?」


よかった。そういう心配をしてるのか。レベルが違いすぎんな。


 教室に戻ると、もう、シオちゃんが帰ってきていた。分厚い問題冊子を6冊ずつ分けている。俺は自分の席に着いて、最後の見直しを始める。


―キーンコーンカーンコーン


いつもと違う時間にチャイムが鳴る。試験開始5分前だ。


「教材と筆箱はカバンの中に直して、カバンのチャックを閉めて。机の中何も入ってないな?準備できたら、シャーペンと消しゴムを置いて前見て。」


指示に従って、片付ける。もう、どれだけ足掻いても遅い。あとは自分の実力を信じるだけだ。問題冊子と回答用のマークシートが配られて、チャイムが鳴った。シャーペンを取って、名前を書き、2学期中間は始まった。

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