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第21話 そして冬服になった

 中間考査が終わり、少しずつ涼しくなってきた。移行期間なので、冬服に変えるタイミングは自由だが、寒がりの人以外は基本的に変えないので、11月頭の今日からの冬服期間に合わせて変える人が多い。


 いつもと違う長袖のカッターシャツに袖を通し、ネクタイを締める。いつもより窮屈な感触が肌を包み、少し大人になった気持ちになる。紺色のブレザーとリュックを持って、リビングに降りた。


「おはよ、バカ兄。」

「おはよ、杏も今日から冬服か?」

「まあね。このブレザーもちょっとちっちゃくなったかな?」


杏が両腕を上げると、小さな腕時計が見えた。


「今度の休み、伸ばしといたら?」

「そうする。」


 洗面所で寝癖を直す。少し髭も伸びてきたので、剃っておいた。リビングに戻ると、桜が降りてきていた。俺が終わるのを待っていたようで、「おはよう。」と言うと「おはよう。」とだけ返し、そのまま髪を整え始めた。俺と杏で朝食を作り、桜が来るのを待つ。


「ごめん、待たせた。」

「別にいいよ。早く食べよ!」

『いただきまーす!』


3人とも卵かけご飯を作って流し込む。


「うちの学校ってリボンとネクタイ選べたんだな。」

「そうそう、だから私はネクタイにしてる。なんかかっこいいしね。みんなはどうかな?」

「きい姉はリボンだと思う。」

「音羽と楓はネクタイかな?琴さんはリボンで、船戸さんと柚さんはネクタイだと思う。あぁ、杏は会ったことないか。文化祭で一緒に仕事したんだ。この3人で、右から柚さん、船戸さん、琴さん。」

「杏の予想は、右からリボン、ネクタイ、リボンかな?」

「柚音の予想だけ分かれたね。」


さて、俺たちの予想は当たっているのか。


 家を出て、まずはきいの家のインターホンを鳴らす。ドタドタと音がしてきいが出てきた。


「「よし当たり!」」

「何?何?」


びっくりしているきいに事情を説明すると、興味を示したようで、海南さんがネクタイ、熊野さんがリボンと予想した。そして光善寺の改札前へ。奏と海南さんはもう来ていて、2人で喋っている。ちなみに、海南さんはネクタイだった。


『よおぉぉぉぉし!』


俺たちの予想は的中。きょとんとしている2人に説明すると、熊野さんの予想は奏はネクタイ、海南さんはリボンと予想した。


 教室に入ると、射的メンバーはもう来ていた。琴さんはネクタイ、船戸さんはリボン、柚さんはネクタイで、的中率は3割か。あとは熊野さんを待つだけ。


「セーーーフ!ハァハァ。」


熊野さんが教室に駆け込んできた。つけているのは、ネクタイ。


『ッッッッッシャアァァァァァァ!』

「「チックショーーーーー!」」


何やってんだ?俺たち。

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