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第8話 白兎③

「桜!桜!」

「ん?あっ!何だっけ?」

「ホントどうしたんだ?」

「何もないよ。ただぼーっとしてただけ。」


今日のコミュ英で寝てから、また桜が変になった。さっきからずっと上の空だし、呼びかけにもほぼ反応しない。


「何かあったのか?」

「えと、ん〜、あの。まぁいいや。私の問題だから気にしないで。」

「…分かった。でも、力になれることがあれば言えよ。」

「うん、ありがと。」


俺は晩ご飯を作り始めた。


〇〇〇〇〇


 ベットの中。1人で今日のことを思い出す。コミュ英の時間中に見た幼い頃の私が言おうとしていることが、未だに分からないでいた。『忘れて』なんて言われても、そう簡単に忘れられるものではない。深く根付いた記憶は、そう簡単に消えやしない。私はまた、夢の中へ飛び込んだ。





「いた。」

「――――――。」


幼い頃の私は地面に三角座りしていた。


「探したよ。」

「――――――――――。」


私はまた、幼い私の背中にもたれかかる。


「ねぇ、これから白兎ちゃんって呼ぶね。」

「なんで?」

「なんとなく。」

「そう。」


白兎ちゃんの声色が少し明るくなる。


「私ね、今すっごく楽しいんだ。信じたいと思える人に出会えたから。」

「そうみたいね。たしか、ヒサシだっけ?いい人そうでいいんじゃない?」

「あと、奏っちと楓、音羽、そしてきい。杏ちゃんも。みんな信じられる友達。」

「そう、私にはいない人たちだ。」


白兎ちゃんはまた俯く。


 私は孤独だった。ちょうど、このくらいの歳の頃に友達なんていなかった。引っ越してきてやっとだ。人と関わりたいと思えたのは。この子は独りで生きていこうとしている。当時の私も頑なだったから、その意志を曲げることはないだろう。だから、


「いつか、いつか巡り会えるから。」

「―――――――。」


私は立ち上がった。白兎ちゃんに呼び止められることも無く、そこを立ち去った。






 夢から覚める。時間は3時前。ぐっすり眠れていた感じはないけど、体はしっかり休まっている。これ以上寝れそうにもないので、起きることにした。


 いつもやっていないけど、勉強してみる。意外と冴えていたので、いつも詰まる問題も、難なく解けた。


 シャワーを浴びて、鏡に映る自分を見る。私はどうやって白兎ちゃんを助ければいいのだろう。私がこうなるためには、勇気を出す以外何もしてないからな。


 シャワーから上がっても誰もいなかったので、朝ご飯を作ってみる。今まで手抜きのものしか作ってことがなかったから、忙しいな。作り終えた頃に2人が降りてきた。


「おはよ!」


私は今できる1番の笑顔で2人を迎えた。


※※※※※※※※※※※※※※※※


昨日一昨日と更新話数が少なくなってしまってすみません。


一昨日は学校にスマホを忘れて、昨日は寝落ちしました。


今日は時間の許す限り更新しますので、よろしくお願いします。

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