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第16話 遠征①

「お前ら、頑張ってこいよ!」


先輩たちに見送られて、学校を出る。太地先輩は1度家に帰ってから来るみたいなので、俺とピー也とかー君と顧問の江住先生だけで新大阪まで移動する。


 途中、校則違反してる生徒を何人か見かけたが、先生曰く、注意するのもめんどくさいとのこと。とりあえず、乗り換えを失敗することも無く、新大阪に無事着いた。


 新幹線のチケットは先生が取ってくれたので、受け取る。乗るのは『ひかり516号』。中央改札前で太地先輩を待つが、10分前になっても、一向に来る気配がしない。とりあえず先に、先生を残して新幹線に乗ることになった。


 まだかまだかと待っていると、新幹線が動き始めた感じがした。


「マジ?」

「マジで?」

「あの2人、遅れるやん。」


とりあえず先生に連絡を取る。『向こうで待っといて』との事だった。


「よっしゃあ!」

「何食う?」

「焼きそばとかでいいんじゃね?」


こうして、静岡遠征は始まった。


 走り出した新幹線は京都を越え、滋賀県に入る。夜の暗闇から見える外の世界は白かった。


「ここら辺からは雪積もってんねんな。」

「まあ、近江やもん。おかしかないやろ。」


どんどん変わっていく世界に心を躍らせながら、生徒だけの旅行を楽しむ。


 ケータリングでアイスを買って、溶けるのを待つ。


「あの人めっちゃ可愛くね?」

「マジでな!」


こんなのも男子しかいないからできる会話。女子なんかいたら、こんなの冷たい目で見られるだけだ。


 静岡で乗り換え。20分ほど時間があるから水とかお茶とかを買って、次の新幹線を待つ。ホームに上がった時に次に乗る『こだま742号』が丁度来た。それに乗り込んで次の駅の新富士まで。江住先生からの連絡で『他校と同じバスに乗って』と言われたので、新富士で降りてロータリーで待つ。数分して、迎えのバスが来たのでそれにお邪魔した。


 バスに揺られて山を登っていく。さっきまでは都会だったのに、もう山になってきた。暗闇の中を抜けて、大きな門が見えてくる。今日泊まるホテルだ。


「めっちゃ綺麗やん!」

「サイコーここ!」


大阪の3人は盛り上がっているが、後ろに乗っている他校の人は無反応。やっぱりこういうのに慣れているのか。バスから降りて、ホテルの人に案内されて、ラウンジで待つことになった。


「ここ、プロテインサーバーあるやん。」

「こっちにジュースとコーヒーもあるで!」

「これ全部飲み放題なん?」


整いすぎている設備に感動する。さすが、スポーツと宿泊の合わせ技のホテルだ。まあ、飲んでいいのか分からんけど。ひとまず、落ち着いて待つとしよう。

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