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第39話 期末①

 期末考査1日目。心配しかない。


「眠そうだな、Q。」

「あぁ、延命措置に気を取られて自分の勉強ほぼしてなかった。」

「あーあ。」

「そう言う奏こそ大丈夫なのか?海南さんに教えてたんだろ。」

「それが余裕なんだよな。」

「余裕なんだな。」


誰がとか言わないのが奏らしい。まぁ、海南さんがってのは見え見えだけど。


 最近分かったことだが、奏は嘘をつくとき右の眉毛が上がる癖がある。本人は気づいていないようだが。実はさっきも右の眉毛が上がった。実に可愛らしい。


「おい、Q!なんか失礼なこと思われてるような気がするんだが。」

「気にするな。悪いことでは無い。」


俺はそう言ってコンビニで買ったブラックコーヒーを一口飲む。豆の仄かな甘みが感じられて口の中に広がっていく。こういうのを『甘さ控えめ』とでも言うべきなのか。『ブラックコーヒー、甘さ控えめ』なんて変な響きだ。


 俺はコミュ英の単語帳を開いて、単語を隠しながら確認する。単語は今日の朝8割方覚えたから、なんとなく解ける。ただ、怖いのは本文。単元にして8個。覚える必要はないが、覚えといて損は無い。実際、ほとんどのやつらが覚えてくるしな。英語が少し苦手な俺には、苦行に近い。


 ただ、救いなのは今回のテストを作るのがロイなことだ。ロイと呼ばれているのは、ジョージ・ロッカス先生。見た目は一切似ていないのだが、ただテンションがバカ高いので、芸能人の名前になぞらえて『ロイ』と呼んでいる。あくまで愛称だからな。


 ロイの作る問題は比較的簡単だ。単語さえ覚えていたら7割は取れる。だから俺は単語ばっかり確認しているのだが。


 そんなこんなでもうテスト5分前。教材を片付けて、単語が抜けていかないように必死で待つ。この時間が生徒たちの点数を下げているのを分からないのか?


 チャイムが鳴ったので、問題用紙を表に向けて問題を解き始める。問題の形式は…


「(ロイだぁ〜♪)」


 結果、分からない問題は1問だけだった。俺にしては上出来。桜とかからしたらまだまだだろうが、満足!


 その後は数Ⅰのテスト。奏に手伝ってもらって、解けるようになった問題が多く出題されたので、数問不安なところはあるが、結構解けた方だろう<(*¯꒳¯*)>


 保険のテストなんか気にしていない(欠点スレスレの人に失礼だけど)。見たらわかるし。さっさとテストを終わらせて、短くなった睡眠時間の補填をした。熟睡しすぎて、回収のときに肩を叩かれて起こされたくらいに。


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