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第42話姉

「ねえ、颯太君とはあれからどうなの?」

颯太君と河上君が二人になって話した日から一日が経って、私は昨日なかなか帰ってこない河上君を心配しながら早めに床についた。

「あのまま、スーパー銭湯に行った」

「まじ?」

「うん」

だとすると本当に、仲直りできたんだ。

「じゃあ、文化祭一緒に周れる?」

「まあ」

「そっか」

「二人でどんな話したの?」

「男二人で話すことなんて決まっているだろ」

「なになに?スポーツの話とか?」

「いや、恋バナだ」

「え?河上君好きな人いるの?」

「さあな」

「え~、教えてよ」

「話したら意味ないだろ」

「どういう事?」

「だから男二人で話した意味がないだろ」

「そっか」

なんだか、無理やり話しを替えられた気がしたがまあいいかと思った。

そんな時、インターフォンが鳴った。

「誰だよ、休みの日に」

「見てきます」

「よろしく」

高坂さんが見に行ったがなんだか、慌ただしく家を出ていった。


「なんだろ?」

「さあ?急だな」

「大切なお客さんかな?」

「そうだろうな」

高坂さんが家を出て行ってから数分が経って帰ってきた。

「どうぞ、お上がりください」

どうやら帰ってきたみたいだ。そして家に来たのは綺麗な女性だった。

「久しぶり、心太」

「遥じゃん、久しぶり何しに来たの?」

「おー、それは良いとして、女の子が家にいるってどういう事?」

「ああ、ちょっと色々あっていな、今家で預かっているんだ」

「そうなんだ」

「うん」

「えっと貴方は?」

「安藤?おーい」

「え?どういう事?」

「何が?」

「何がじゃなくてなんで河上遥さんがいるの?って言うか知り合い?」

「そうだけど」

「ああ、驚いているのね」


河上遥さんは、超有名な女優だ。それだけじゃなくてハリウッド映画にも出ている世界の大女優なのだ。そんな超凄い女優さんがなんで此処に?

「えっと、私は安藤さくらです」

「さくらちゃんね、よろしく」

「はい、で、なんで此処に?」

「なんでって此処、家だし」

「どういう事ですか?」

「あれ?言ってないの?」

「何が?」

当の河上君は説明をしないつもりだ。

「何がってちょっとまって、此処が遥さんの家?」

「うん、私は心太の姉だよ」

「え~、まじか」

なんだか、もう何があっても驚かないくらい衝撃だ。

「河上君の家族構成どうなっているの?」

「俺の父親はKawakami Global Stageの代表取締役CEOで母親は共同創業者でありCOO。兄はそこで働いていて社長らしい」

Kawakami Global Stageと言えば世界中で有名で、音楽フェスやライブを中心に、多国籍の文化イベントなども手がけていて、グローバル展開している大規模なエンタメ系企業だ。

家族は凄い経営者で親戚にアイドルがいて自分は世界をまたにかける捜査官ってどんな世界線だよって思う。でもここで一つ疑問が思い浮かんだ。

「でも、前に家族について聞いたら。しがない公務員って」

「それは血がつながっている家族だな」

「あ、亡くなったんだっけ?」

「うん、俺はその後、今の父親と血が繋がっている父が友達だった事で養子に出されたんだ」

「そうなんだ、なんか凄い家庭だね」

「そうか?」

「私も家は金持ちだと思うわ」

遥さんが噓偽りなく話す。

「河上君って自覚ないよね」

「まあ俺も父からそんな友人がいるって知らなかったから、驚いたりはしたけど何年も一緒に暮らせばそんなに気にならないぞ」

「そうなんだ」

「それで、遥は何しに来たんだ?」

「丁度、日本で仕事だったしホテルより家に帰るのも悪くないと思ったのよ、それに心太の顔も暫く見てなかったし」

「そっか、で暫く家から通うのか?」

「うん、心太が良ければ」

「まあ、俺は良いけど。安藤は?」

「え?私?」

「そりゃ家に居るんだから聞くだろ」

「私は全然いいよ、それに邪魔なら実家に帰るし」

「そこまでしなくても大丈夫よ」

遥さんは笑いながら言った、ここまで綺麗な人だと笑い方も上品になるんだって思った。

「所で?さくらちゃんは心太の彼女?」

「え?いやいやそんなんじゃないですよ」

「そこまで否定しなくてもいいだろ」

「でも本当のことだし」

「まあ、そうだけど」

「えー、そうなんだ。心太と一緒に住むことができるなんて高坂さんと霞ちゃん以外にいないと思ったのに」

「でも、良い人だと思いますよ」

「そう?最初は私達にも心を開いてくられなかったのに」

「そうなんですか?」

「ちょっと、昔話は俺のいない所でしてくれ」

そう言って河上は自分の部屋に行ってしまった。


「そこまで恥ずかしがらなくてもいいのにね」

「そうですね」

「まあ、昔話はまた今度にするとして。さくらちゃんは心太のことどう思っているの?」

「印象ですか?」

「さくらちゃんって天然だね」

「そうですか?」

「うん」

まあよく言われるけど。

「この話しするってことは好きなのかってこと」

「好きですか?」

「うん」

「好きってわけではないですけど、かっこいいとは思います」

「え~、そうなんだ」

なにやら遥さんはニヤニヤとしていた。

「別に付き合うまでとは」

「そうなの?でもあんな優良物件ないと思うけど」

「優良物件?」

「うん、だってまずは顔がかっこいいし頭はいいし、お金持ちだし」

遥さんは意外とブラコンなのかもしれない。

「まあそれはそうですけど」

「じゃあさ、お試しとかはどう?」

「実は私、恋愛で少しトラウマがありまして」

「そうなんだ」

「はい」

「でも、心太がどう思っているかだよね」

「そんな河上君はそんな事思ってないですよ」

「そうかな、事情があるにせよ家に入れている時点で、良くは思っているのと思うんだけどな」

「そうですかね」

自分の家じゃないにしろ家で有名な、大女優さんと恋バナしている事実が驚きだ。


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