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第22話:深紅の瞳

「みんな! 回避に重きを置いてください! コイツはッ!」と最後までいう暇がなくそのまま、さっきまで私のいたところに漆黒の槍がズブズブと刺さった。


 私はフライトを使って、跳躍ひねり回避を敢行していた。


 空中から加速して、地上に綺麗に着地した。


「速いぞ! みな気を付けろ!」と『ウィーゼル』が叫んだ。


 次の瞬間、『ウィーゼル』が「フルブレッシング!」と唱え、『セリア』が対象を自身を含む四人として「ホワイトクラウン!」と唱えた。


 『ゲルハート』がいった「『セリア』は下がれるところまで、下がってくれ!」と叫んで、その漆黒の槍を薙ぎ斬った。


 攻撃対象が三人に増えたためか、さっきまでの攻撃できない状態ということはなくむしろ緩慢になって来ていた。


 これを好機ととらえた私は、大技をぶっ放すべく対象の接敵レンジに入り込んだ。


 そして二回目の回避を済ませ、接触距離に接敵した私はリベリオンからのソウルスマッシャーを手を接触させてそこからぶっ放した。


 リベリオンそのものは成功確率を上げる補助術であり、そんなにきつくはないのだ。


 今の私からの一撃を食らって、コイツはまた一瞬ビクンと大きく隙を作った。



 その隙を狙って、前衛の二人と私が瞬間に仕掛けた。


 『ゲルハート』が大きく踏み込んで、命中を上げ威力上昇でその柔らかそうな腹をつらぬきに行った。


 『ウィーゼル』は敢えて高く飛び上がり急所と思われる紅い目を命中パワーヒット多段攻撃で穿うがちに行った。


 私はソレが攻撃を仕掛けている際にソレの手が握ったり開いたりしているのを確認したためソレが前に突き出しているほう、つまりソレの左腕を斬り飛ばしに行くべくライトニングブラストを魔導剣となっている刀にまとわせてフライトを機動修正しながら斬り上げたのであった。


 効果が出たのは『ゲルハート』と私が斬り上げた分だった。


 『ウィーゼル』のほうは効果が無かったのではなく、ソレの右手でガードされてしまったからである。


 逆にいえば弱点ですよ、と申請したようなものであった。


 『ゲルハート』は大剣をソレの腹に、なかば近くまで貫いていた。


 私のほうはうまくいったといえるもので、ソレの左腕を半ばから斬り落とせていた。


 但し、血らしき液体は飛び散るどころか何も出なかった。



 そしてその二者の攻撃に耐えきれなかったソレが泣いた。



“うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!”



 と赤子が大きく泣くように、叫んだのである。


 流石に泣声なきごえはとても大きく、耳が潰れるかと思ったくらいであった。


 だが、潰れはしなかった。



 私はフライトの持続時間中であるため、空中機動中だったので回避は綺麗にこなせていた。


 そういう意味では『ゲルハート』のほうが不味そうだった。


 体術で辛うじて避けてはいるが、大剣を手離せないためその場からほとんど動かなかったからである。


 『ウィーゼル』は綺麗に回避できていた。


 そのため『ウィーゼル』は『ゲルハート』をサポートすべく貫かれた箇所に重複ダメージを与えるべく斜めから、自らの拳に腕甲に具現放出インヴァディエミッション魂衣装着ソウルコスチュームを上掛けしパワーヒットを全ての打撃に乗せて両手でラッシュをぶちかました。


 『ゲルハート』はさらにその大剣を、ソレの奥深くに刺し込んだ。


 もう根元まで入っているという様な状況だった。


 そこにラッシュとパワーヒットがのったのだ。


 ソレが『ゲルハート』を捕まえようと、いや叩き潰そうと右腕を振ろうとした。


 その際隙が大きくできた、片腕だから出てしまった隙ともいえた。


 ソレが右腕を振るうべく振り上げた際にソレにとってはガードしていた目の部分を覆うモノが無くなり、私にとって好機ともとれる状況が出来上がっていた。


 振り下ろされるまでに、いや振り上げた段階で仕掛けた。


 ソレの目に、直に巨刃落しビッグブレイドドロップをラッシュで斬り込んだのである。


 しかも両目が範囲に入るように、空中から仕掛けたのであった。

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