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第23話:真魔

 ソレの腹側でも『ゲルハート』がさらに深くえぐった分と『ウィーゼル』の強い連撃で、かなり大量の黒い失血が噴き出たのであった。


 黒い血をまともに浴びてしまった二人が心配だったが、私もまた危なかった。


 巨刃落しそのものは真面まともに入って、紅い目が潰れ黒い液体の涙と思われるものがぼとぼとと落ちた。


 その直後戦闘機動中だったので避けられたが、ソレの右拳が私のいた空中を抉るように空を切ったのだ。


 目が見えないため無我夢中で振りだしたといった感じではあったので、手の届かない辺りから、リベリオンを下敷きにライトニングブラストを三連撃で真下目掛けてぶっ放したのである。


 顔面からライトニングブラストを受けたソレは、


“ビクン! ビクン!! ビクン!!!”と三度ほど体を震わせると仰向けに倒れていった。


 『ゲルハート』の大剣はキレ味がものすごいらしく、仰向けに倒れていくソレを斬り裂いて行きさらに黒い液体が流れ出した。


 『ゲルハート』と『ウィーゼル』は、黒い液体を浴び黒くなっていた。


 私は二人が立っていることを確認すると、フライトをコントロールして『セリア』の隣に降り立った。


 『セリア』は黒く染まってこちらに向かって集合するべく黒い液体の池から上がった二人に向かって、「ウォッシング!」と唱え黒い液体を全て洗い乾かした。


 その瞬間二人は、綺麗な元の状態に戻ったのである。


「すまん、手をかけた」と『ウィーゼル』はいった。


 『セリア』はいう「これくらいなら、手がかかった内には入らないわよ。それよりも今は他には危険は無さそうだけど、みんなの勘はどう?」と。


「勘とは『セリア』らしくないな、とりあえず俺の勘は何ともないが」と『ゲルハート』は答えた。


「私の勘も今のところ特には、でも今のやつが終わりではないですよ。通常空間に戻りませんし」と答え、続けていった。


 『ウィーゼル』は「俺の勘も似たようなもんだ。何か危惧すべきことがあるのか?」といった。


「確かに通常空間には戻って無いのだけれども……。さっきみたいにいきなり現れるヤツには対応できなくて、それでみんなの感覚を信じたの」と『セリア』は術を四つ程常動で維持しつついった。


 そして続けた、「みんなランクいくつになってる?」と。


 そして全員でランクの確認を行った。


 『セリア』が気にかけていたランクは、私がオール三十になり、『ゲルハート』が闘士が二十七で探索者が十九まで上がり、『ウィーゼル』が神闘士と闘士が二十七で法師が二十に、『セリア』もオール二十七になっていた。


「さっきの奴らのせいか、まだ上がるのか!?」と『ウィーゼル』はいった。


「大体そんくらいだろうな、とは思っていたがそんなもんだったか」と『ゲルハート』がつぶやいた。


「それとさっきのヤツ、真魔の一種ではないのかと思うのよ。私の読んできた文献にそっくりなヤツがいるのよ」と『セリア』はいった。


「紅い目、黒い血はそっくりなのよ、外見は千差万別みたいだしね」と続けた。


「真魔か、聞かん名だな」と『ウィーゼル』はいった。


「強いのか?」と『ゲルハート』がいった。


「強い弱いでいえば、強いほうよ?」と『セリア』は語る。


「古代期の王国をいくつか滅ぼしているという話なんだけどね、ヤツラには必ず共通することがあるのよ。その文献では、必ず黒い城を拠点として作るみたいなのよ。だからこの空間にも、居城があるんじゃないかなって思うのよ」と続けた。


「つまりは城攻めってことか? この人数で?」と流石さすがに無理じゃろといったふうで『ウィーゼル』はいった。


「文献では、群れているってわけでもないから少数精鋭だけみたいな書き方をされているのよ。だから多分、数は少ないと思うのよ」と『セリア』は答えた。


「規模だけは、ぶつかって見ねえと分からんからな。少数精鋭といっても、数人とか数匹ってことは無いわけだろう?」と『ゲルハート』がいう。


「流石に、それほど少ないってことはないと思うけどね」と『セリア』も答えた。


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