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第25話:黒い城

「ガイド出してみて、さっき私がやってたのは『ウィオラ』ちゃんならできると思うよ」と『セリア』がいった。


 術から来た答えをそのままレーダーパーセプションに投影し、ナビゲーションを四人掛けし展開した。


 丁度視界の右隅に矢印が出る、そのままだと何か工夫が欲しかったため視界の左上隅に丸い透過マップを置き自身の位置と味方の位置とその周囲と目標までの差分距離を展開した。


「ん、これは便利ね。こんな使い方もあるか勉強になるわ」と『セリア』がいった。


「距離的に言って、大体の表示が出てると思います。とらえた座標からの算出だから、誤差はあると思います移動されたら多分追跡できないでしょう。さっきまでの位置からだからですが、更新できないのです」と私が説明を添えた。


「と言うことは、こっちが北ってことになるのか」と『ウィーゼル』がいった。


方位ディレクション」と『セリア』が唱えた。


「確かに向こうが北の様ね」と私が指した方角を向いて『セリア』がいった。


「距離は、五.五キロか結構あるな。徒歩で、一時間少々か」と『ゲルハート』がいった。


「どうする? すぐ行くか?」と『ウィーゼル』が聞いたのであった。


「それは早いほうが、いいんじゃないのか? スタミナはともかく食事は朝の分しか食べて無い訳だし、今は飯は無理だろう?」と『ゲルハート』が答えた。


「そうね今はまだいいけど、こっちのものは下手に食べられないし。そもそも何があるのかも、見当がつかないわ」と『セリア』も答えた。


「私も同じ意見です。一度帰還してもいいのですが、また巻き込まれることを考えると邪魔な芽は早めに摘んだほうがいいと思います。それにこの術というかガイドは時間がたつにつれ、あまり意味を成さなくなります」と私も答えた。


「よし、つか!」と『ウィーゼル』がいって立ち上がった。


 それを合図にみなが、快適な小屋から外に出た。


 レーダーパーセプションを自身に五倍掛け常動でかける、周囲の動的・静的物体及び地形が情報として一瞬でやってくる画像情報のようなものだ。


 ナビゲーションと同じく維持を開始した、また双方にリンクをかけておくことも忘れない。


 もう一度だけ異界探査ディファレントフィールドエクスプローションを実施する。


 そして先ほどの座標と整合性をかけた、そして位置座標に変化が無いことを確認した。


「まだ目標の位置は、変わってないです。今なら、あるいは居城があるのかもしれません」と私が再確認した事項を伝えた。


「後周囲に動くモノは居ません。動かないモノが数個ありますが、移動した時にかぶるモノはありません」と私は実況を伝えた。


 私の展開しているレーダーパーセプションの範囲に一本のラインが引かれていてそれが、進行する道ということになっている。


 幸い、川や崖などの自然的な障害物は無さそうであった。


 そこまでは分かるのだ。


 陣を組んで移動し始めた。


 私が先頭、左右後方に『ウィーゼル』と『ゲルハート』が付き、その後方真ん中に『セリア』が付く。


 典型的なワントップの菱形陣形の構図だが、私が道標みちしるべなのだそれは致し方なかった。


 歩く速さは、それなりに早い方であるという自負があるくらいであった。


 だが、若干抑え気味で歩くことにした。


 平坦な道ではない、坂や丘がある。


 急なものはまだ無かったが、そのうち出てくる可能性はあった。


 サーチ範囲は半径二.五キロ程なのだ、全行程こうていの半分ほどしか出ていないのだ。







 ほどなくして、三キロほど進んだ辺りで、レーダーパーセプションに川らしき反応が上がって来た。


 目標のすぐ前に川があるらしかった。


 川幅はおよそで一キロほどであった。


 目標の反応は川とおぼしきものの、中州にあるようだった。


 『セリア』が遠視ティルファーを再度かけふくろうを空高くに上げた。


「森を抜けて少し広い平原を抜けた先に川があるわ、その先の中州に黒い城があるわよ」と『セリア』がつぶやいた。


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