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第27話:妙案

「距離がまって来たな、こちらから仕掛けるか?」と『ゲルハート』がいった。


「相手が何なのか確認できれば、それが一番いいのですが」と私がいう。


「確かに、相手次第では状況が変わるものね」と『セリア』が同意した。


ぎ払ってもいいモノかどうかなやみどころですよね。薙ぎ払っていいモノなら一網打尽いちもうだじんに出来ますけども」と私が追加する。


「薙ぎ払い、なんてできるのか?」と『ウィーゼル』が聞いた。


「それくらいなら楽勝よ」と『セリア』が答えた。


「囲めれば楽なんですが、囲い込もうとすると個人戦になる可能性があります。だから囲い込みはできれば、避けたいところなんです」と私が戦術についていった。


「確かに向こうは十人いるものね、一対二から三という状況に持ち込まれたら、厄介やっかいだよね」と『セリア』が同意してくれた。


 そういっている間に、〇.五キロまで接近されていた。


「向こうのほうからだと、撃ち下ろしができるな。もうそろそろ腹をくくらんといかんな」と『ウィーゼル』がいう。


「撃ち上げが不利ってわけではないですよ? 向こうは我々の足回りを攻撃しにくいはずですし、そこの大木たいぼくうろで作戦会議しませんか? そのほうが見えにくくなっていいかと」と私が堅実的な作戦会議場を提案した。


「分かった、そうしよう」と『ゲルハート』がいった。


 そして皆で大木の洞に隠れての作戦会議となった。


「結構大きいですね、四人も入れるとは思いませんでした」と私がいう。


 実際に入口は小さかったが、中身はかなり広かったのである。


「ひょっとして、今私たちが消えたように見えてないかな? それだといいんだけど」と『セリア』がいった。


 〇.四キロに近づいていたが、相手の進軍が止まったのである。


「確かに相手はとまりましたね。これはいい案だったかもしれません」と私がいう。


「自身では索敵できないのかもしれんな、それならば方策ほうさくはあるぞ、一人がまず相手を引き付けるんだ。そしてある程度まで戻って、この洞を相手が通り過ぎるのを待つんだ。そしてある程度戻った者は、おとりではあるが相手を叩き潰す勢いで暴れても問題ない。相手が混乱している内に、それを後ろから各個撃破するっていうのはどうだ」と『ウィーゼル』がいった。


「誰が囮役をしますか? それとこの木の洞の入口も隠さないといけませんね。もし、私でいいなら囮役は引き受けました。私でいいといったのは、後衛でないことと前衛も後衛も兼ねられることですが。それに木の洞をかくすには、術者必須ですしそちらは『セリア』にお願いしたいのですが。それと『セリア』の護衛を『ゲルハート』にお願いしたいのです。ですので必然的に囮は私か『ウィーゼル』になるのですが、『ウィーゼル』には長射程魔法がありませんし」と一気に話してしまう。


「ぐうの音も出んな、俺はそれでもいいが『ウィオラ』は大丈夫か? また無理をさせてしまうかもしれんが、補助術式はかけてもいいか?」と『ウィーゼル』がいってくれた。


「なら皆がうまくタイミングを合わせられるように引き離し終った後で、薙ぎ払いを実施しますね。広場を作ってしまいますので隠れるところは無くなりますが戦いやすくはなるかと思います」と私がいう。


「薙ぎ払いはどの術でするの?」と『セリア』が聞いてきた。


「ギガスマッシャーを、使おうかと思います。あれなら少し時間延長しても、そんなに負担になりませんから」と私がその問いに答えた。


「それに今までの相手で合っているとしたら、それくらいで消し飛ぶとは思えませんし。後、パーフェクトイリュージョンでみんなの姿を一緒にまとっていけばヤツラはこっちに引き付けられますから」と私が追加する。


「まずはこの木の洞を隠しますか」といってパーフェクトイリュージョンを使って入口がふさがれたのであった。


「では支援をかけるぞ。ハイブレッシング! ホーリーアトリビュートアーマー! ブーステッドアーマー! ペイトロン! タリスマン! リミット・アンプリフィケイション! セイクリッドクリエイション!」と『ウィーゼル』が一気に唱えた、そして私の目の前に一本の神々こうごうしい刀が顕現けんげんした。


「その武器を使ってみてくれるか? ソイツは、聖属性付与が永久的にかかり続けている武器なんだ。いわば神剣と言うヤツだ」と続けた。


「四本差しですね、ありがたく頂戴ちょうだいしますね」と笑顔で受け取ることにした。


 刀は太刀かという位に長めではあったが、持つと重さをほとんど感じなかった。


 その刀は物凄ものすご綺麗きれいさやは白銀色でつば鯉口こいぐちふちかしらこじりも同色であった。


 鮫皮さめかわにあたる部分は薄紫色で、柄巻つかまきは革と思われ乳白にゅうはくしょくが映えていた。


 静かに刀の刃を見るべく少しだけスッと抜く、刃文はもん小乱こみだれで刀身は綺麗な状態で刃先はとても鋭くしのぎは厚目でとてもすぐ作ったとは思えない出来であった。


 持っているだけで、神々しさが伝わってくるようであった。


 私もパーフェクトイリュージョンを唱え、『ウィーゼル』と『ゲルハート』と『セリア』をイメージで形作った。


 念を込めて作ったので、かなりしっかりとしたイメージになっていた。


 刀のし方を変えた、左側の特級品の刀を右側に移すと左側に神剣を入れた、小柄も同様に白銀の柄と綺麗な刃であった。


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