目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第29話:冒険者たち

 私はバリア、パーフェクトイリュージョン、レイダー、レーダーパーセプション、ナビゲーションの五つを維持している状態だった。


 相手が〇.〇四キロで止まって、集合しているようだった。


 向こうにも、円陣が出来ていたのだ。


 六人パーティーと四人パーティーなら丁度十人にはなるのだ、それか三・三・四の区分けかもしれない。


 そう思った。


 仲間はまだ、大木たいぼくうろから出てはいないようだった。


 まだ術そのものは維持できるので維持をする、ついでに相手から情報を聞くため円陣の中の音を貰うことにする。


 聴音ヒアリングサウンドと術を発動させる、すると向こうの円陣の中での会話が分かった。


『「でどうするよ、攻撃は外されているのか威嚇いかくなのか分かんないけど一度攻撃されているんだよ?」、「でも人間だぜアイツら」、「悪魔には見えない」、「確かにそうだが、一撃目のは明らかに外れたし威嚇だったんじゃないのか?」、「相手の実力も分からないのに、仕掛けてもな」、「そうだそうだ」、「今、我々の中で一番高い実力の持ち主は二十ランクだったか?」、「確かに私は二十ランクだが、前衛じゃないぜ?」、「相手は明らかに前衛二、後衛二の平均的なパーティーだ」、「白と赤は後衛だろう、青と黒が前衛とみる」、「武装からしてそうだろう、そこは見りゃわかる」、「声をかけてみるか? 私たちと同じなら協力関係が結べるかもしれないぜ?」、「どうする仮リーダー?」、「直ぐに結論を出さないとまずいな、ここがどこかまだ分からないからな。うーん、よし代表でアタシが交渉に行こう」、「一人で行くのか!?」、「大体交渉役は武器を持って無いほうがいい、そういう意味ではアタシが適任だ」、「そこまでいうのなら、止めるいわれはないが。一応何かあった時の、対処の準備だけはしておこう」、「よし散ってくれ、ちょっと行ってくる」』


 『セリア』に、伝達テレホンで伝えることにした。


「『セリア』、相手は私たちよりランクの低い冒険者みたい。シバキあげるのは少し待ってあげて。交渉役がこっちにくるみたい」と私は『セリア』に伝えた。


「わかったわ、交渉で物事成そうとするのは冒険者だものね。交渉が終わったら教えて」と『セリア』から返信がやって来た。


 私は交渉に備えたが伝達をついでに維持して、そのまま交渉役の話が『セリア』に筒抜けるように術を組みなおした。



 一人、黄緑色の装束と緑色のマントといったふうの冒険者が接近してきた。


「いきなりですまない、アンタらは人間か? それとも悪魔なのか? どっちなんだ?」と少し大きな声をかけられたのであった。


 パーフェクトイリュージョンをその場に固定し、イメージだけ顔をそちらに向けるというイメージを作らせた。


 もちろん私もそちらを向く、そして私だけ円陣を離れた。


 といっても左手に少し出ただけだ、そして「私は人間だ、そちらが悪魔でない証拠と根拠は?」と少し大きい声で返答する。


 間は〇.〇一キロといったところだろう、サーコートの前を合わせてあるため得物は見えていない。


 相手は完全に素手だった、大振りのナイフが背中に見えるくらいであった。


「アタシはアルカナ・ディレイラーそして精霊使い、いわゆる冒険者だ!」といいながら、冒険者証を提示して接近してきた。


 名乗られたので、名乗り返さなければ失礼になるかなと思ったので名乗り返すことにする。


「私はウィオラ・オルビス・テッラエ、魔剣士だ冒険者をしている!」と名乗った。


 二メートルにまで近づいたのであった、それだけ相手に度胸があったともいえた。


 私も冒険者証を提示した、そして維持していたパーフェクトイリュージョンを解除する。


 その瞬間、相手がビクッとビビったのが分かった。


「一人だったのか!」といった。


 そして続けた「見事なイリュージョンだった、アタシのことはアルカナと呼んでくれ、代わりにウィオラ殿と呼ばせてもらってもいいか?」と『アルカナ』はいって来た。


 特に断る理由が思いつかなかったので「ではそれで」と返答した。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?