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第32話:怪獣大決戦

 超跳躍の狙いは首筋の裏にあるという逆鱗にあった、無ければ柔らかい側の首を斬って抜けるつもりであった。


 みるみる内に、暗黒竜のデカい顔が近づく。


 フライトを途中からかけると、速度を上げ首に接近した。


 こちらの意図に気付いたのか、首というか顔を振ってひねって逃げようとするがそうは問屋がおろさない。


 首に沿って飛行してやる、ついでに目的を確認すると首のあご裏側には特に何もなかった。


 だが柔らかい部分であるとは思うので、顎を下から貫くべく一気に突っ込んだ。


 神剣がアッサリと、暗黒竜の顎の下を斬り裂いた。


 だが流石さすがは竜の骨そこで骨にあたり止まったので、歯噛はがみを利用して竜の骨を折にいった。


 少しダメージが、骨に入ったようだった。


 そのまま皮膚ヒフと肉を斬りながら、上に抜けてやる。


 黒い血が、ブシュッと噴出ふきだした。


 『ティナ』も果敢かかんに、腹側の柔らかめのあたりを突いていた。


 上に抜けて向き直ると、目を狙って突きにいった。


 目は深く閉じられていたが、多分開けたら紅いのではないかという確信があった。


 右からは『ゴロー』と『サクヤ』が突出しており、左側からは『コルト』と『メナード』が突出していた。


 各パーティーからは魔法がバンバン飛んでいたが、まだ皮膚を抜いたものは無さそうだった。


 暗黒竜は当面の目的を私に、集中したようだった。


 竜が噛みに来るが、フライトをコントロールしフェイントを行って“ガチン”と空振りさせた。


 暗黒竜の鼻の根本に乗って、まぶたを上から貫いた。


 それは聖剣だからなのか、いとも簡単に瞼を貫き目に届いたようであった。


 暗黒竜が暴れ出した! 私を振り落とそうとしてくるが、私は位置固定ポジションホルドを使いうまく暗黒竜の頭と私が一体化するように術で固定していたのであった。


 座標が固定されているため、振り落とせず苦しそうに吠える暗黒竜。


 『アルカナ』は氷竜を、召喚したようだった。


 一回り小さいが竜には違いない、怪獣大決戦が始まるかと思われる状況でもう一度苦しいという意味合いの吠え声を暗黒竜が発した。


 『ゲルハート』が腕は無理だったので、暗黒竜の指を一本切断させたのであった。


 『ティナ』も急所突きを使って、皮膚と皮膚の隙間の線を狙って突き刺せていた。


 私はさらに深くをえぐっていたのだ。


 それが、同時に起こったためである。


 私は後ろに氷竜の気配を察したため、一度離れるべく位置固定を解除しフライトで飛びあがった。


 『ティナ』と『ゲルハート』も離脱した、他のパーティーの前衛も一旦離脱した。


 『セリア』は氷竜にリクラッシブアーマーとパーフェクトコーティングをかけていた。


 そこから先は怪獣大決戦になった。


 防戦に回っても特に問題のない氷竜と暗黒竜の戦いは、大きく移動するので各パーティーは森の中まで退避することになった。


 森を私が広げたところで存分に二匹が取っ組み合った。


 暗黒竜には邪魔が入り、氷竜には各パーティーから支援が飛びかった。


 サイズの差はむしろ都合がよい状態にまでになった、内側に潜り込むのに丁度良いサイズであったのだ。


 氷竜はアイスブレスを吐きながら暗黒竜の動きを阻害し、その鋭いエッジを立たせた牙で喉笛のどぶえを噛み千切ちぎりにいった。


 それを力で押し返そうとする暗黒竜! 普通なら氷竜が負けてしまうところだが様々な支援魔法がそれを押し返していた。


 しかも暗黒竜が回避できそうなときには、回避阻害の魔法が暗黒竜に飛び回避できなくなるのである。


 暗黒竜が圧倒的に不利であった。


 それに加え攻撃魔法が暗黒竜に飛び続け、逆に支援魔法や回復魔法が氷竜に飛び続けるのである。


 私も攻撃魔法と回避阻害系魔法を、暗黒竜に対して実施していた。


 そして徐々に暗黒竜が弱って来て、そこに氷竜がとどめを刺す形で喉笛をみ千切ったのである。


 怪獣大決戦の勝利が確定したのであった。

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