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第34話:城へ侵入

「相手が何であれ、元を正さないとまた召喚されるよ?」と私が力強くいう。


 すると「それは仕方ないですね。今なら厳しい戦いになるかもしれませんが、やれそうな気がします。相手を泣かすか、降参をしてもらわないといけないのでしょうね」と『アリア』がいった。


 ほろぼすつもりだった、とはいわなかった。


「城まで、二キロくらいだからもう直ぐよ。城が見えていればテラスかどこかへ集団転移すれば一撃よ」と『セリア』はいった。





 それからぐにち、三十分かからずに黒い城が見渡せる崖の上に出た。


 黒い城は中央の尖塔が一本の比較的単純な形をしており堀や外壁といったものがない造りになっていた。


 その代わり川の中州にあるため、そういうものが必要ないのだという感じがした。


「あれが目標ね、どの道転移しないといけない道だったわね。流石にテラスや屋根までにバリアは拡大してかけていないでしょう、効率が悪すぎるもの」と『セリア』はいう。


「念のため、偵察に行きましょうか? それならバリアの有無を確認できます」と私がいう。


光学迷彩オプティカルカモフラージュを張っていれば、目立つこともないでしょう」と私は続けた。


 そして自らに光学迷彩をかけると、フライトで一気に飛びあがった。



 城にはテラスが設けてあった、手前の広場と思しきものに向って話すように作られた比較的大きめのテラスである。


 色が漆黒であるため、あまり目立たなかったのである。


 またテラス部分の色は、暗い灰色をしていたのであった。


 屋根の影に自らの影を入れるように、気を付けながらテラスに降り立つことにした。


 降り立つと、警報やら悪魔が出現したりといった仕組みは無かった。


 不思議なくらい素で降りられてしまったのである、感覚的にやはり悪魔が少ないのかと思わせる感じであった。


 ガーゴイルのような化成体も居なかったので、さらに不思議な感じがしたが今は偵察が優先ということもあって直ぐに元の場所までフライトで戻った。


 光学迷彩を解いて「特に何もなかったよ。この人数で行っても大丈夫そう」と私は告げた。


「パーティーごとに行動にしよう、『アルカナ』と『アリア』は組んで『コルト』はこっちへ」と私がいった。


「待った、その組み合わせだとまずい」と『ウィーゼル』はいった。


「『コルト』のところは、ランクが低いが回復役が二人いる。『アリア』と組んでもらう方がいいだろう」と『ウィーゼル』がいった。


「我々は『アルカナ』と組んだ方がいい、回復役は俺と『セリア』がいるからな」と続けた。


「確かにちょっと迂闊うかつだったか、ごめんね。ランクで考えすぎた」と私があやまった。



「ようし、いっちょやりますか」と『セリア』は目標を定めると軽い詠唱から集団転移グループテレポートと唱えた。


 瞬間転移し、テラスにみなが降り立った。


「フロントロウは私たち、バックアップは『アリア』に任せる」と私がいった。


 すでに『ゲルハート』が、テラスにアクセスする扉の開錠にかかっていた。


 私と『ウィーゼル』は何かが起こってもいい様にそのフォロウに入った。


“カチ”と軽い音がして鍵が開いた音がした。


 幻影では無いようだった、物理的に何かがある。


 私は、聖剣の刀版(以下聖刀)を抜いていた。


 みな思い思い武器をそれぞれ構えている。


 外向きに開くようだった。


 私は、敢えて扉の真正面にいる。


 『ゲルハート』が扉に聞き耳を立てていた。


 そしてこちらを向きながら自らもグレートソードを抜いた。


 で、ハンドサインで四と示した。


 レーダーパーセプションの範囲には、建物の中は映らないのだ。


 出たとこ勝負であった、ハヤテを自身にかけた。


 『ゲルハート』が右からと『セリア』が左からその扉を開けていった。


 開ききる前、に一人が通れるくらいに開いた際に私は突入していた。


 そのまま、レーダーパーセプションに情報が載った。


 そこは丁度十字路になっており、その角の頂点に各一人づつ黒い騎士鎧が立っていた。


 その黒い騎士が私目掛けてロングソードくらいのサイズの剣を抜いたのであった、私は瞬間にワケミ弐式を行い四人になって前後の黒い騎士を一人ずつ斬り裂いた。


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