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第3話:誠神殿と書庫

◆ 視点はまた変わる。『ウィーゼル』視点


 神官衣は意外とカラフルだ、サリーネ神を信仰する人は白い神官衣を結構好むらしい。


 黒を除く二十三色のカラーがある、というから驚きである。


 実際は百十五種あるらしい、カラーの濃さ薄さで五段階も階層があるのである。


 最初に色を選んでも薄い、淡い色合いのものしか渡されないのだ。


 だが色を濃くする方法は、無いわけではない徳を積むか功罪を積んでランクを上げるかという苦難の道をいわれることになるのだが。


 白色は淡い濃いが見えにくいため、比較的神官に多いカラーともいわれているが実際は素材が違うためそれなりに分かってしまうらしかった。


 俺はそういうのが嫌いだったため、青にしたのである。


 最初は確かに淡かったが、その時期はあっという間に過ぎ去っていった。


 誠神殿に行くたびに、神官衣の濃さが強くなっていったのである。


 今はもう、進化ランクと呼ばれる最高位一歩手前の神官衣をまとっている。


 ランクは一般>上級>高位>進化>神化の五階位となっている。


 今日進化ランクの神官衣を受領して、先ほど着替えたところだった。


 それだけ激しい戦いに身を置いているということに他ならないが、それは望むところであった。


 それと今日は、申請しに来たのであった。


 誠神殿の主、神官長たる司祭様に取り次いでもらえるようにお願いして待つこと十数分。


 会ってもらえることになった、時間をいただけたのである。


「司祭様、こたびは修行期間の延長をお願いしにまいりました。私たちのパーティーを支援し修行するために時間をいただきたいのです。三年程いただけないでしょうか」と俺がいう。


「元々は城塞都市プレグレードまでという話でしたね、何か心変わりがありましたか?」と聞かれた。


「まだ俺には見極めねばならないことがあるようなのです。それを見つめ直すまでの時間をいただきたいのです。そのように強く思いました」といい切った。


 少し思案した、司祭様であったが一つ大きく頷くと「分かりました、時間もまだ必要でしょう。急成長するのもいいですが、神闘士として内面を磨くのもまた修行です。心してかかって下さい」という様にいって下さったのであった。


 そして誠神殿を出て、宿に戻るのであった。




◆ 視点はまた切り替わる。『セリア』視点


 私はその日、魔導士ギルドを訪れていた。


 書庫に入るためである、書庫と一重に呼んでいるが国や地域で当然蔵書は変わるのが常であった。


 そのため私は、地方に行ったら必ず大都市や王都などの書庫を見て回るのである。


 そういう生活に馴染んでしまっていた。


 だが再び疑問に思ったことなどを、再度調べることも必要だということが今回の一件でよく分ったのである。


 書庫に行くための割符は常に持ち歩いている。


「またいらっしゃいましたか、勤勉はいいことで貴方に学問の神がおりますようお祈り申し上げます」と神官のような口調で迎えられた、ここはフレイニア王都フレイにある大きな魔導士ギルドの書庫である。


 今の語りのような口調を使ったのは、ここの書庫の管理官である。


 察するにヒマらしい、だが私の探し物は難しいのだ。


「いつもありがとう。また見せてもらいに来たわ」といって、書庫の中に進入する。


 探すのは、真魔関係の書物である。


 シかしで始まる書物を、端から端までサーっと見た。


 古語で書かれている書物も、当然対象になる。


 完全に魔法語と思しき書物も、数冊見つかった。


 今回も前回同様、当たりクジを引いたようだった。


 ただ読み切って覚え込まないといけないのだ、写本は許可されない書物が多いからである。


 モノ次第ではあるが稀に写本を許可される場合もあるが、今回のカラーでは無理そうだった赤色と紫色のラベルだからである。


 赤色は持ち出し写本禁止、紫色は写本禁止のカラーだからである。


 写本が許可されているカラーは緑色と水色で水色は持ち出しも可能なものであった。


 他にもいろいろな制約があり合計七種類のカラーが決められているのだ。


 とりあえず必要な部分にしおりを挟んでいき、一通り挟めたら今度は詰め込みを開始しするのであった。


 そして時間は、制限時間ギリギリまでかかるのであった。


 そしてまた管理官に追い出されながら、宿に帰るのである。

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