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第6話:出立

 その日は朝から忙しかった、当然である。


 モンド商会フレイ一号店からたつのだから、フレイ一号店の人たちから餞別ということで一番高級な保存食を人数分で一週間分いただいてしまった。


 非常食についても同様で、価格は通常の二倍はするが味のいい長く持つモノを売っていただけたのである。


「また来られるときは、いつでも言ってください」とまでいわれてしまったのであった。


 そこまでいわれる理由は分からなくもない、皆のランクのせいであった。


 それに加え私の勇名でもあるのだ。


 伝説の人を迎えられてより商売が繁盛する、そういうことであったらしい。



 そして朝の十時には、出立しゅったつと相成ったのであった。


 店長以下の主だった重鎮が見送りに出て来るということで、宿の周りの人も巻き込んで盛大な見送り会となったのであった。


 先頭は当然白い鎧に白い軍馬に私、その後ろに『ウィーゼル』の芦毛の馬二頭立ての馬車が一馬身ほど空けて続き、その左右を左側を『ゲルハート』の黒い鎧の青毛の黒い軍馬が右側を白銀の鎧の栗毛の軍馬に乗る『セリア』で固め、そして馬車の後方に『アルカナ』の乗る鹿毛の乗用馬とその右に並んで青鹿毛の乗用馬の『ティナ』という構成なのだ。


 他のパーティーの場合その大半が徒歩であるため、そういう対応になったのは分からなくもなかった。


 私は余裕があったので、片手をあげてその見送りに答えたのであった。



 また、宿を出る前に「今からは『ウィオラ』ちゃんがパーティーリーダーよ」という『セリア』の宣言により、リーダーが『ウィーゼル』から私に変わったのである。



 それはそうなるだろうと思っていたので、特に気にするほどではなかった。



 馬車や馬は王都ではどのみち全速力は出せないため、人の歩く速度と同じになるのである。


 そのおかげで、東門に着くまでおよそ一日ほどかかってしまうのであった。


 そしてとくに何事もなく、無事東門に着けたのである。


 そして東門でも特に問題がなく、東の関所を通れたのであった。


 そして夜のとばりが降りる頃、二交代で休憩として馬車を路肩に止め休憩としたのであった。


 休憩の最初は、私、『ウィーゼル』、『アルカナ』の三人であった。


 特に問題もなく、モンスターなどの襲撃もなく無事交代となった。


 次に私たちが馬車内で休んでいるときに、『セリア』と『ゲルハート』と『ティナ』が見張りに着いた。


 そちらのほうも時に何事もなく、見張りを朝方に終え朝の食事となったのである。


 保存食は流石に高級なものとなっていたため、とても美味しかった。


 食べ終わると、城塞都市フラグに向けて馬車と馬五頭で走り出すのであった。


 都合一日と半で城塞都市フラグの関所を難なく通り抜け、フラグ内部の東門に近い高級宿屋に泊まることにした。


 高級宿にした理由は主に、セキュリティー面の問題であるからであった。


 城塞都市フラグでも関所で伝説の――と口を滑らせかけた門番がいたということもあったのである。


 何事も無ければいいが、何かあってからでは遅いということもあり本日もロイヤルスイートになったのである。


 私たちはロイヤルスイートに慣れてしまっているが、新たに加わった『アルカナ』と『ティナ』はそうはいかなかった。


 流石にそういう事例もあったので本式とせずに、ルームサービスだけで全てを済ませたのであった。


 また男女比がこれまでの半々から、二対四に変化したことも多少かかわっていた。


 とはいっても、そこまで影響力は大きくなく半々くらいの影響力でもあった。


 新しく仲間になった『アルカナ』と『ティナ』がそこまで肩肘張らなかったからともいえるであろう。


 いわば新参者なのでそこまでは、といった形だったからである。


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