我々が馬車のほうに去った後で、奴らが皆殺しの目にあったのはいうまでもない事実だった。
格が明らかに違うのに、欲を出し
『ウィーゼル』に助けなかった理由を聞かれたので、そのまま答えることにした。
「なんて迷惑な……」と流石の正義の神官も、口がへの字に曲がったのであった。
チラリと暗黒騎士はこちらを見たが、手を出さなかったというのを評価したのか襲って来なかった。
とりあえず車列を元に戻し、進み始めた。
途中で『ウィーゼル』がこの六人神殿行きと書かれた死に札を六人にかけるだけかけた。
運が良ければ誰かに拾って貰えて、神殿まで持ち込んでくれるだろう。
とのことであった。
「自業自得ですけどね」とは私の言葉であり、「そういう奴らはごまんといるぜ」というのは『ゲルハート』の答えであったりした。
「仕方が無いわね」とは『セリア』の言葉であったりする。
そうこうしていると、時間がたちそうだったので馬車に『ウィーゼル』が「ああでもしてやらんとな」といって戻って来たのである。
そして車列は進み始めた。
それからほどなくして、一日目の休憩所が出て来た。
そこで二交代制で晩を過ごすと、また朝方には車列を動かし始めたのであった。
暗黒騎士は遠くを飛んでいたりするが、ほとんど襲ってこず拍子抜けした感覚があった。
「俺たちの強さがバレてるんじゃないだろうか?」とは『ゲルハート』がいった言葉である。
そして二日目になると明らかに、暗黒騎士の数が増えたのが分かった。
「何か中心にでもいるんですかね?」とは私のいった呟きだったが、それが当たっていることを知るのは二日目の夕方になってからだった。
二日目の夕暮れ時だった、一際大きい影が宙を舞った。
暗黒竜の二十五メートルほどではないが、二十メートルはあっただろう。
比較的大型の黒竜であった。
車列の十五メートルほど前に降りた。
「復讐をさせてもらう」とその暗黒騎士はそう大きな声で叫んだのである。
「仇討ちか? 誰の仇討ちだ?」と聞くことになった。
「暗黒竜様を撃ち、我らの御屋形様である暗黒王様を撃った白き伝説の乙女とその仲間よ! 勝負されたい!」と時代がかった口調でいうのだが。
数が違っていた、空を埋め尽くすほどの暗黒騎士が居るのだ。
「尋常に勝負ってわけではなさそうだな! 数の暴力で勝ちたいのか!」と相手が騎士であるということに念頭を置いて言葉で喧嘩しに行った。
「数を同じにすると、もしかして勝てないからか!?」とからかったように調子を崩してやる。
「くっ言わせておけば。しかし尋常に、勝負というわけにはいかん! お前らを、滅ぼしてやる」といってくる。
「後で王の墓前で、数で勝ちましたよって報告でもするんだな。もっともそれで、勝てたらの話だが。私に、負けるつもりはない!」といいつつ馬を降り戦闘準備を行った。
皆も同様に準備を行う。
『ウィーゼル』が皆の軍馬や乗用馬、馬車を馬車止めに繋いだ。
そして戻ってくる、準備はさせてもらえるようだった。
「皆で大物とやり合って! 私は有象無象の暗黒騎士を相手にするから!」といって補助術式すべてと
無言で、『ウィーゼル』が皆にハイブレッシング! ホーリーアトリビュートアーマー! ブーステッドアーマー! ペイトロン! タリスマン! リミット・アンプリフィケイション! と一気に唱えた。
同じく無言で『セリア』も、ハイエンドエンチャントとダブルプロテクトを全員にかけたのであった。
そしてさらにライトニングブラストとソウルスマッシャーを同時に聖刀に