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第11話:復讐

 私が黒が九、空が一となって真っ黒に塗りつぶされたような空を白刃をまとって光の速度で宙を駆けた。


 何が起こったのか分からずに腹をかれ翼をやぶられ、暗黒騎士が斬りきざまれて一瞬のうちに百二十数匹の黒竜ブラックドラゴンに騎乗している、または騎乗していた奴らが落ちる。


 私は補助術式の一つレイダーを使い対象を線で結びそれを瞬間的に追い斬り刻んでいるのだ、私そのものが刃であるといっても過言ではない技で。


 地上からは、私が光の線となって駆けている様子しか見えないはずであった。



◆ 俺視点『ウィーゼル』視点


 空を見ながら「なんだアレは……」と一番大きい黒竜に乗った暗黒騎士がつぶやいた。


「腹ががら空きだぜ!!」と『ゲルハート』ががら空きの黒竜の胴目掛けて、ハヤテで駆け込み薙ぎ払った。


 増幅効果も込みでかなり痛い一撃が入ったようだった。


 俺は支援に徹するべく後陣に身を置いていた。


 『ティナ』も『ゲルハート』の反対側から、脇腹わきばらうろこが途切れる辺りをねらってつらぬきに行った。


 『アルカナ』は俺の前に氷竜を呼び出して、支援をかけ尽くした。


 『セリア』も氷竜に支援をかけつつ、黒竜に攻撃魔法を浴びせていった。


 俺も氷竜にかけられるだけ、支援をかけていく。



◆ 私視点『ウィオラ』視点


 そして三秒もすると、空が少し晴れたのが分かった。


 まだ黒は多いがそれでも空は七、黒が三といったところである。


 黒竜は密集隊形を取っていた、私にとっては思うつぼである。


 この白刃といわれる超光速攻撃は、分散されたほうがやりにくいのだ。


 あっという間に密集隊形の黒竜を、上から下に五回ほどと下から上に四回ほど貫けて下に出た。


 白刃を解かずに維持したまま、残った点を線でつなぎ再度宙を駆けた。


 空が九、黒が一まで数を減らしていた。


 いかな暗黒騎士といえど、上空五百メートルほどから落下して生きている奴は一パーセント未満なのだ。


 魔法が使えるやつはとっさに使って難を逃れてはいるようだが、それでも全体から見れば微々たる数でしかない。


 私の維持力が少し強化されていた、どうやらランクが一か二か上がったらしかった。


 カードを見なくてもその程度のことは、分かるようになって来てしまっていた。


 白刃の出力のほうを上げるとさらに残った点に向かって突撃していった。



◆ 俺視点『ウィーゼル』視点


 地上では、怪獣大決戦とまではいかないものの氷竜とそれを支援するものと暗黒竜の戦いに加え、暗黒騎士と『ゲルハート』と『ティナ』の戦いが起こっていた。


 竜だけでは不足と見た暗黒騎士が、後衛を襲うべく降りて来たのである。


 だがそう安々と後衛をやられるほど『ゲルハート』と『ティナ』は間抜けではない、むしろようやく降りて来てくれたかといったふうで『ゲルハート』と『ティナ』がストライクラッシュパワーヒットをそれなりに撃ち続けることにより暗黒騎士に手傷を負わせていたのである。


「ぐっ、馬鹿なこの俺が押されるだと!」と暗黒騎士にいわせるほど強い当たりであった。


「当たり前だ、こちらとら前衛張ってんだ。重い鎧しか着たことのない、騎士様に負ける分けねえだろうが!」と『ゲルハート』がいって。


「後衛はやらせませんよ! 貴方の仲間はほとんど落ちてますしね!」と『ティナ』もいって動揺どうようさそったりしているのだ。


 俺がえながら壁からい上がって来た、落ちてきたが何とか魔法で助かった暗黒騎士の残りを相手していたのである。


「後衛には近づけさせん」と俺がいいながら相手をしていった。


 特に飛んでいた奴に強いのは混じっておらず、十三ランクから十五ランク程度の強さでしかなかった。


 むしろ背後で戦っている『ゲルハート』と『ティナ』の相手のほうがヤバそうであった二十五ランクから三十ランク程度とみられるからであった。


 だが二人で相手をしていることもあって、大分だいぶ順調な滑り出しであったことから目の前のことに集中することにした。

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