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第2話 自業自得

 翌日私たちは、城塞都市プレグレードを出てネカという小さな城塞都市に向かうこととなった。


 ネカまで、およそ三日という距離だった。


 ここら辺りは妖魔の森が近いので妖魔に気を付けてというふうに、プレグレードを出る時にいわれたくらいであった。


 確かに、妖魔の気配は多いのだが私たちに向かってくるような猛者はいなかった。


 めんどくさかったので、一度対象を広くとってエイギスの盾イージス・シールドを百二匹にほりこんで始末したのであった。


 それ以降、近寄って来なかったのはいうまでもない。


 ネカまで、特に何事もなく無事にたどり着いたのであった。


 一撃確殺はやはり、小物にとっては辛いらしい。


 ネカには、討伐情報と思しきものが数枚貼ってあった。


 チラ見すると、そのほとんどが小物と思えるもので最大ランクでも二十を越えていなかった。


 私たちからすると小物ではあるが、二十ランク付近というのは冒険者にとっては上級どころに該当するものである。


 私たちが異例なのである。



 そうは思ったが、旅の途中で寄り道するのもなんなので地元の冒険者に任すことにした。



 寄り道……妖魔の森に、分け入らねばならないのである。


 面倒なことだといえた。


 そんなこともあり今日は宿に泊まらず、広場で野営の準備をしていたのだ。


 宿に泊まるということは、リーダーの冒険者証を見せなければならないということなのでここで厄介ごとを増やしたくないという思いの表れであった。


 要は、地元の冒険者諸氏と、もめ事を起こしたくないのである。


 露は払うが、それ以上のことをしない。


 という意見でまとめた、『ウィーゼル』はまあ今回は暇な旅ではないしなといって同意してくれたし他の皆も同意見であったのだ。


 ただそうは問屋が卸さないようで、妖魔の襲撃があると吹聴ふいちょうして回る集団を見かけたのである。


 その集団はぱっと見、冒険者の様であった。


 妖魔の森から逃げかえって来たらしく得物も装備も置いてきたような感じの状態でほうほうのていで逃げて来た、まだ一桁ひとけたランクの冒険者のようだった。


 冒険者ギルドに『ゲルハート』に行ってもらって、彼らのことを聞いて来てもらうことにした。


 私が行くと、ことが大事化する可能性が懸念けねんされたからである。


 『ゲルハート』は快く引き受けてくれた。


 その間にも、野営の準備は進めておく。




 『ゲルハート』が、冒険者ギルドの出張所から帰って来た。


 馬車に上がり込んで、静かに話し始めた。


「最近は低レベルの冒険者が、態々わざわざ妖魔の森に行って、賞金首をおちょくってココまで釣って来て城塞都市の火力で落としてそれを自分たちの手柄だということがまかり通っているらしい。面倒な話だ。その代表格がアイツららしい、関わらないほうがいいな」といったのである。


「無視しましょう」と私はスッパリと切り捨てた。


「自業自得という言葉の重みを思い知ってもらいましょう、冒険者にあるまじき行為ですし」といい切った。


「私たちは仮眠の準備でもしますかね」と続けた。



 そういっていると、どうやらランクが高すぎて落とせず侵入を許したらしかった。


 そいつはその冒険者を追って、ネカの市街地に侵入した。


 そして広場でその冒険者たちと殺し合いをし始めた、モノの五分もかからなかった。


 そいつらが、全て叩き殺されたのである。


 それをよしとしてオーガが略奪りゃくだつを開始しようとした矢先、私は馬車から一人降りた。


 物見やぐらから、ことの一部始終を見ている者がいるのを確認したうえでだ。




 その略奪をしようとしたオーガを私が一瞥いちべつした。


 その瞬間オーガがあきらかに委縮いしゅくした。


 そして私から、逃げようとする。



「ここまで来たんだ、死んで行け!」と私が通達した。


 オーガのランクはどう見ても十八ほど、私はその倍以上に匹敵するのだ。


 オーガはにかけられた賞金は精々三百ゴルトほどだろう。


 そして私は全開駆動フルドライブをかけると、オーガを通り過ぎた当然真っ二つに斬ってから。


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