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第3話 強者の字

 私の後ろで、オーガが縦に真っ二つになった。


「で? 判定は?」と冒険者ギルドの出張所から出て来ていた、十ランク相当の冒険者に問うた。


「白き伝説の乙女……」と十ランク相当の冒険者のリーダーがかろうじて声を絞り出した。


 そして私は、聖刀を鞘に納めた。


「いくらだ? 褒賞は、私のものだろう?」と押してみた。


 敢えてこの街を救ったのは私だといわんばかりに、「それともそこの死体が、褒賞を貰えるのか?」とはっきりと静かに言葉を吐いた。


「褒賞は貴方のものです、どうぞこちらへ」といわれるので小太刀のほうをサーコート内で手をかけ付いて行った。


 冒険者ギルドの出張所に案内され、褒賞三百ゴルトを手にした。


 ついでに、一シルズ渡して「奴ら五人は神殿に片付けておけ、復活料は真面に払って返せと言っておけ。それと私の名は出さないでもらおうか」といい切った。


 そして三百ゴルトのうちの五十ゴルトだけ先に財布に叩き込んで、出張所から出て皆の元に戻ってことの顛末てんまつと褒賞を分けようとした。


 すると、今回俺たちは何もしてないから『ウィオラ』が貰ってくれといわれたのであった。


 私の現額が、四クリプト二百二十九プラナ三百三十七ゴルト七十六シルズ八十ブロスとなったわけである。


 旅行財布の中身[1.504kg]

 一Cl×四[0.28kg]

 五十P×四[0.34kg]、十P×二[0.09kg]、五P×一[0.03kg]、一P×四[0.024kg]

 五十G×六[0.36kg]、十G×三[0.09kg]、五G×一[0.025kg]、一G×二[0.03kg]

 五十S×一[0.05kg]、十S×四[0.14kg]、五S×一[0.025kg]、一S×二[0.02kg]


 旅行小銭入れの中身[0.16kg]

 五十B×零[0.00kg]、十B×八[0.16kg]、一B×零[0.00kg]

 五十Ca×零[0.00kg]  貨幣全重量一.六六四キログラム、


 体重を除く全備重量が六十六.五二四キログラムとなったのであった。



「血臭がうっとおしいが、寝るか」と『ウィーゼル』がいった。


 すると『セリア』が馬車から出て、馬車の周囲にある血臭をウォッシングを唱え即消滅させたのである。


 馬車の中に入って来て「馬も血の臭いで怖がったり、興奮したりするからね」といってくれたのである。


 そしてそのままゆっくりと寝に入れたのであった。


 二交代制であるため、三時間半ほどで起こされ交代の番を入れ替わった。


 私は馬車の外に出ることなく、気配で監視をしていたのである。


 私が外に出ると目立つからというのもある。


 そして保存食という朝飯を食べて、小さな城塞都市ネカを出るのであった。


 少し大型の城塞都市ディルサイプまで、三日ほどの行程らしかった。


 合間の期間は三日であったが、妖魔は見かけなかった。


 街道はしんと静まり返り、なにかが出そうな予感はさせたが予感だけにとどまった。


 虫の鳴き声や、風の音くらいしか聞こえなかったともいう。


 仮に出て来たとしても、瞬殺くらいで終わってしまった可能性はあった。


 そういう意味では、普通の三日であった。



 城塞都市ディルサイプの都市に入る関所で、またそれは起きた。


 いつも通りの、リーダーの冒険者証を見せるという定例のアレでである。


 私が見せた瞬間、衛兵が固まり「白き伝説の乙女……」といって固まったのを皮切りにその場で作業していたヤツ全てが固まったのである。


 入管作業をしていた役人も、作業をしているのを見ていた城塞都市に入る人たちも一緒に固まったのである。


 私的には、またか。


 といった状況だった。


 ネカで起きなかったのは、ネカが元々小さい村であり関所を持たなかったからである。


 プレグレードでは『ゲルハート』が先に見せていたためそこまで大きくはなかったが“黒衣の剣士”といわれ係員が固まっていたのは記憶に新しい。


 いわないようにさせるのは簡単だが、それをしてもどの道脇から漏れるのだ。


 無視する、他なかったといえる。


 見せた後はすんなり関所通過の許可が下りて、あっさりと城塞都市ディルサイプ内に入ることができたのであった。


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