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第8話 調教

 なかなか就職がうまくいかない。疲れた。しんどい。今日も面接でダメ出しされた俺は、そんな思いを抱えながら家に帰った。しかし家に帰った瞬間、そのあまりにも衝撃的な状況に疲れは吹き飛び、ネガティブな感情を一旦忘れてしまった。


 家に帰ったら、メイと唯奈が待っていてくれて、出迎えてくれたのた。これだけならそれほど不思議な事ではない。しかし、その二人の様子がおかしかった。


 二人は下着姿であった。そして、しっとりと全身が濡れていた。汗の様である。汗で髪が濡れ、顔に張り付いている。


 メイは唯奈を後ろから抱きかかえ、優しく彼女の胸を揉みしだいている。もう片方の手で太ももの方を優しく撫でている。


 唯奈の方は顔を赤く染め、瞳はうるんでいる。なんだか、すごくもどかしそうな、物欲しそうな艶めかしい表情をしている。


 二人ともスタイル抜群で、モデルのような体形の美女である。そんな二人が絡み合う姿は、あまりにも淫靡な光景だ。


 これはつまり、二人はそういう関係に……? もしかして、俺は今見てはいけないモノを見てしまっている?


「……ええっと、俺今日はホテルに泊まった方がいいか?」

「? 何故です?」

「いや、なんだかお邪魔みたいだから……じゃ、明日帰って来るから」

「ま、待ってぇ♡ いかないでぇ♡ 助けて、ああっ♡ ふっあ♡」


 俺が一旦家を出ようとすると、唯奈が切羽詰まった様子で呼び止めてきた。どうやら、関わらないわけにはいかないらしい。どうしてこんなことをしているのか、一応聞いてみたほうがいいかもしれない。


「ええっと、メイ、これはその、何をしているの……?」

「ああこれですか? これは整体です。ご主人様のメイドたるもの、より美しくなっていかなければなりません。だから、私がより美しい体になるように、体の歪みを治しているのです。唯奈は少し骨格が歪んでいたので」

「その……とりあえずその整体、一旦やめてもらっていい?」


 あまりにも艶めかしすぎて、目に毒だ。俺、本当にここに居ていいのか? これ見て大丈夫な奴? あとで、セクハラとかで訴えられない?


「ダメです。まだ最後の育乳が終わってませんので。ご主人様好みの、より大きく張りのある胸に仕上げますので少々お待ちください」


 そう言いながら、メイは唯奈の胸を揉む。


 ……それ、本当に整体?


「あんっ♡ だめっ♡」


 唯奈はいやらしい声で喘いでいる。


「どうです、ご主人様も触ってみますか?」

「触れるかー! そんなことしたら捕まるわ」

「大丈夫ですよ、ね?」

「は、はいっ♡ 大丈夫ですっ♡ そういうこともあるかもしれないと、覚悟してメイドになったのでっ。そうでなければ、こんなにたくさんのお給金、いただけるわけないですからっ」


 ……いったいメイは彼女にいくら払ってるんだ?


「いやいや、俺はメイドにそういうこと求めてないから」


 女性同士なら、じゃれあっているで済むのかもしれないが。




 それから数日後。なんだか、唯奈の様子がおかしくなっていた。彼女の肌や髪の艶がよくなり、美に磨きがかかっていた。メイド服以外の普段着も、非常に洗礼されていてかなりおしゃれだ。


 しかし変わったのは見た目だけではなく、中身だ。最初の頃は俺に対してどこか警戒している様子だったのだが、それがなくなった。


 それだけでなく、どこか無防備な姿をさらすことが多くなった気がする。スカートがめくれてしまいパンツが見えてしまっている事とか、偶然俺が帰宅するタイミングで着替えている事とか。なんだか唯奈とのラッキースケベが妙に多い。


 それに、顔を赤く染めながらじっと俺を見つめてくる時もある。なにか変だ。


「なあメイ、最近唯奈の様子が変じゃないか?」


 さすがにちょっとおかしいので、一緒に過ごしている時間が長いであろうメイに聞いてみた。


「ええ、調教が順調に進んでいる証拠ですね」

「ちょ、調教!? いったいなにしてんの!?」

「ああいえ、言葉を間違えてしまいました。私はただ、彼女に整体を施しながら少々ご主人様の魅力を説明しているだけでございます。それだけですよ?」


 そ、それだけ? 本当に?


「ご主人様だって、メイドに嫌われているよりは、好いていてくれた方が嬉しいでしょう? だから私が、唯奈が少しでもご主人様の事を好きになるように調きょっ、おっと失礼、説明させていただいているだけでございます」

「……」


 えっ、なに? もしかして洗脳みたいな事してる? それ大丈夫な奴? なんだか、メイの事が怖いんだが?


「ふふふ、大丈夫ですよご主人様。お給金もいっぱい出しておりますし、ちゃんと彼女は同意しています。契約書も結んでいますから、なにも心配しなくて良いのです。待ってて下さい、すぐに合法メイドハーレムを作りますから」

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