そして、始まる、怒涛の質問ターイム!
心をくすぐるワードを投下されて、キラキラに火がついてしまった生霊少女の質問は、なんていうか激しかった。
滾るようなパッションを感じる。
方向性は違うけど、
その熱意に押されて、
「世界のカケラということは、全部集めれば、新しい世界が創れるとか、そういうことですか!?」
「いいえ。違うわ」
「なるほど。では、ひび割れた世界を修復するためのアイテムとか、そういうことですか!?」
「アイテム……。ま、まあ、そういうこと、ではある……というか、あってほしいわね」
「つまり、みなさんは、洞窟の魔女って人に命じられて、カケラを集めてひび割れた世界を修復する、異世界の魔法少女!? ここは、魔女と魔法少女が住む異世界!?」
「別に命じられてやっているわけじゃないわ」
生霊少女は、生霊なのに成仏してしまいそうなくらいに、キラキラと輝いていた。
対する月下さんのテンションは、段々、下がっていく。この子も魔法少女になるなら、どうせ、その内その辺のことは説明することにはなるんだろうから、後か先かの話だと思うんだけど。
お返事が何となく投げやりなのは、あれかな? あたしと同じで、某キノコを思い出して萎えちゃってるのかなー。それを思い出して萎えるのは分かる。とっても分かる。
「え!? では、魔女と魔法少女は対立しているんですか!? 世界を壊したい魔女と、世界を癒したい魔法少女…………。素敵ですね」
「別に、対立はしていないわ。魔女は、言うなれば中立の立場ね。ただ、闇底の……この世界の行く末を見守るだけの存在なのよ。本人が言うには、だけれど。適宜、情報は寄越すけれど、協力するわけでも、邪魔をするわけでもないわ」
「洞窟に住む、敵か味方か分からない魔女。ああ……、ミステリアスですね……」
「まあ、ミステリアスではあるわね……。胡散臭いともいうけれど」
洞窟の魔女さんに思いを馳せているのか、生霊少女はうっとりと瞳を潤ませた。おかげで質問の猛攻がようやくストップした。
うっとりモードの生霊少女を、何ともいえない顔で見つめた後、月下さんは無言で行動を開始した。
なんと、月下さんは、生霊少女の本体の傍でしゃがみ込み、星砂に埋められた体の、右腕の辺りを掘り返し始めたのだ。
え、ええ!?
生霊とはいえ、本人がそこにいるのに、勝手にそんなことしていいの!?
いくら、トリップ中とはいえ、一応、本人にお断りしてからの方がいいんじゃないだろうか?
なんて、ハラハラしている内に、作業は終わった。
星砂の山の中から、肘から先の部分が現れる。
その手の中には、確かに、カケラがあった。
血の気を失った真っ白い腕の先、その手の中に、緩い感じでカケラを握りしめている。
ま、まさか、本人……の生霊がトリップしている間に、無理やり奪い取るつもり……!?…………では、なかったみたい。ほっ。
「話の通り、握りしめているだけみたいね。体内に取り込んで、同化しているわけじゃなくてよかったわ」
「ああ、なるほど。それを、先に確認したかったのね」
ポツリと零した月下さんに、ベリーが納得したって感じに頷いている。その顔が、ちょっと渋いのは何でだろ?
ん? え?
どういうこと?
もしかして、あたしだけが分かってない?
「ま、もしも、その子の体内にカケラが取り込まれていたとしたら、月華の力を分け与えることには、反対していたわね」
どこが苦々しい、
それは、分かっていないあたしへの説明というよりは、トリップしている張本人以外のみんなへ向けた言葉のようだった。
もう一人の張本人である月華は、我関せずの顔をしているけれど、月下さんとベリーの二人は、分かっているって感じに頷いている。その二人の顔も、苦々しい。
え?
やっぱり、分かんない。
なんで? どういうこと?
誰か、説明、プリーズ!
プッリーズ!!