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第7話 サプライズ

「こんなふうに水を両手ですくう時みたいに手を出して?」

イナツナが優しく言った。


「え?こう?」

華は戸惑いながらも、彼の指示に従う。


「そう。そして、今からおまじないをするから華、俺がいいよって言うまでちょっとだけ目を瞑ってて?」


「あ、うん」

華は目を閉じ、心臓がドキドキと高鳴るのを感じた。


イナツナは、華の温もりのある小さな手を包み込むと、深呼吸をした。そして、彼女の耳元で囁く。

「もう目をあけてもいいよ」


華がゆっくりと瞼を開けると、視界に飛び込んできたのは、夕焼け色に染まった美しいヒスイと、素朴な土器の輪っかで飾られた首飾りだった。

その瞬間、華の心は、満開の桜のように華やかに咲き誇る。


「き、綺麗!」

華は感動のあまり声を上げた。

「ねえ、イナツナ、これどうやったの?いつの間に作ったの?」


「それは、ヒ・ミ・ツ♪」

するとイナツナはいたずらっぽく微笑む。


「ねえ、イナツナ?これってもしかして私に?」

突然のサプライズに慌てふためく華だったが、

上目遣いで彼の顔を覗き込むと、人差し指で自分の口元を指差した。


「もちろん、華の為だよ。」


「こ、こんな素敵な首飾り、私なんかがもらっちゃっていいの?

私、今月誕生日でもないんだよ。」


「分かってるよ。だって今日は、俺と華が初めて出会った日でしょ?」

イナツナは必殺のスマイルを見せた。


「イナツナ、ありがとう」

華は彼に抱きついた。


それから、イナツナは彼女の背中からゆっくりと首飾りをかけ、そして。

「華、似合ってるよ。」

そっと彼女の耳元にささやく。


すると、華の顔はゆでダコの用に真っ赤になり、

そして……、

噴水のように鼻血を吹き出しながら盛大にぶっ倒れた。


「ちょっと華!?大丈夫?しっかりして!」

彼は華を仰向けに寝かせると、持っていた麻布のタオルで止血するまで彼女の鼻に軽く被せる。

「あ、もうこのハンカチ、血がいっぱいで使えないな。」


「どなたかこの中に、紙、コホン!

の悟りをお持ちのお客様はいらっしゃいませんか!?」

イナツナは冗談めかして叫んだ。



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