年月が流れ、華は成人を迎える
村ではその日、古くから伝わる神秘的な儀式が執り行われることになった。
それは、若者が大人へと成長する節目に行われる、魂に力を宿す儀式だ。
夕暮れ刻、村の中心にある樹齢五千年は悠に超えるであろう御神木の下に、彼女は呼ばれた。
そして、村の長老が華に神聖な言葉で語りかける。
「華よ、そなたは美しい。この村の宝だ。これから始まる新しい時代を、村人達と力を合わせて幸せに生きなさい。」
長老の言葉に、華は静かに目を閉じ、これまでの日々を思い出す。
友達との出会い、一緒に過ごした日々、イナツナのこと、最近行方のわからない姉やナシミとの思い出。
そんな様々な思い出が、華の心に温かい光を灯す。
華は深呼吸をする。そして、この儀式が、自分の人生にとって新たな始まりであることを実感した。