イナツナはあの一件から腰を痛めている。
華はその日から毎日イナツナの家に通うようになり、彼の片親の母親の手伝いをしながら、彼の介護を続けていた。
彼が動けない間、彼女は献身的に世話をし、温かい食事を作り、彼の回復を見守る。
「いつもありがとうね、華ちゃん。」
イナツナの母親が華に温かい声をかけてくれた。
続けてイナツナが顔を赤くし恥ずかしそうに言う。
「ありがとね、華。」
「そんな!私こそ、……ありがとう。」
華は恥ずかしさのあまりイナツナの顔を直視することすらできずにいた。
華はこの頃から、イナツナへの恋を自覚し始める。
彼の頼り甲斐のある姿や思いやりに触れるたびに、彼女の心はますます彼への思いを深めていった。
その日の夕方。
ホタルは下を向き、顔がくしゃくしゃになる程泣いていた。
彼女は静かな場所を探し、一人涙を流す。
心の中で様々な思いを巡らせながら。