ようやく泣き止み意を決した彼女はカザシネとタエマの肩を借りながら、華の家へと向かう。
夕焼けが村を染める中、ホタルは華に深々と頭を下げた。
「私、一歩間違えばあなたの命を奪うところだった。本当に、本当にごめんなさい!!
本当はあなたをあんな危険な目に遭わせるつもりは無かったの。
本当なの、お願い、信じて。」
頬を伝う涙を拭いながら、ホタルは再び頭を下げる。
すると、タエマがそんなホタルに合いの手を入れるように会話に入ってきた。
「華?僕もホタルに君をあの場に誘うと聞いておきながら、こんなこと言うの偉そうだと思われるかもだけど、だけど聞いて。
ホタルの言うこと、信じてあげてくれないかな?
実は僕もあのとき、君の発言の証人としてホタルの近くにいたんだ。
だけど、それ以外は、君が後ろ向けに転けて尻餅をつくとか、地面が崩落するとか本当に予想していなくて……」
すると、カザシネも会話に入ってきた。
「タエマ!
お前言い訳とかはいいんだよ。先ずは華に謝れよ!」
「あ、うん。華、本当にごめん」
カザシネは続けた。
「ごめんな、華。俺もタエマも、そしてホタルも、三人が悪いのは言い逃れしようの無い事実だ。本当に申し訳ない。」
「二人ともやめて。カザシネも土下座とかやめて。悪いのは二人を誘った私なんだから。悪いのは全部私なのよ。」
「ホタル……」
カザシネとタエマ。
二人は大切なホタルに何もしてあげられない自分たちの非力さに唇を噛んだ。
「ホタル、そんなよしてよ。」
華はホタルを落ち着かせようとなだめるが、彼女は尚も華の前で土下座して、泣きながら謝る。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
カザシネとタエマの二人も彼女に続けて土下座してきた。
「いいよ、三人とも。私、こうして無事だったんだし。もう過ぎたことだし。私はもう引きずってないから、ね?」
「私、父さんに、ちゃんとあなたと仲直りしたか後で確認しに来るからって言われてるの。
だからそれまで絶対に家に帰ってくるなって。
だから、だから。グスン、グスン」
わああああああああ!!
ホタルは突然、華の胸の中で泣き崩れる。
「あーよしよし、大丈夫だよ。」
華はそう言って泣き続ける彼女の肩をさすった。