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第60話 少女の記憶の回復中半 ※現在〜回想〜現在

〔※現在〕


薄暗い部屋の片隅で、忘却の少女・美嗣は膝を抱え、震えていた。

意識が現実と過去を行き来し、まるで激流に翻弄されているかのようだ。

頭痛がズキズキと痛み、吐き気がこみ上げる。


「……どうして……どうしてこんなことを……」


美嗣の瞳には、深い絶望が宿っていた。


鮮明な記憶が、まるで昨日の出来事のように蘇る。

それは、決して忘れようとしても忘れられない――消えない記憶の奔流だった。



〔※美嗣/回想〕


夕食のテーブル――かつては、家族団欒の温かい笑い声が響いていた場所。

しかし、その日の食卓には、異様な緊張感が漂っていた。


両親の目は、どこかぎこちなく、鋭くぎらついている。

まるで仮面をかぶっているかのように――。


そして、ある夜――。


私は紬を呼び出した。


しんと静まり返る部屋の中、二人は言葉を交わす。

だが、その会話の内容は、美嗣の記憶から次第に消えつつあった。


ただ――。


断片的に蘇る言葉の数々が、私の心を深くえぐる。


そして、次の朝――。


家族は皆、無残な姿で発見された。


私の手には、血のついたナイフが握られている――。


警察は、私が家族を殺害したと結論づけた。


しかし――。


私には、その時の記憶がまったくない――。


私は……怪物なの……!?


私は、何度も何度も自問自答を繰り返した。


しかし――心の奥底では、何かがおかしいと感じていた。


なぜ、こんなことをしてしまったのか――。

なぜ、記憶の一部が欠けているのか――。



〔※現在〕


美嗣は、自分の過去と向き合おうとする。


しかし、それはあまりにも辛く、苦しい作業だった。


過去の記憶が、美嗣の心を鋭く切り裂いていく――。


それでも、美嗣は諦めなかった。


自分の過去を受け入れ、そして、償わなければならない――。


「……私は……償わなければならない……」


そのまだ小さな体に、強い決意を宿し――。


美嗣は過去の罪と向き合い、そして未来へと歩き出すことを決意した。


※次話では美嗣が更に記憶を思い出した後の、

その知られざる回想シーンが語られます。







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