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第69話 親戚の家への帰宅 ※現在〜美嗣の回想

〔※現在〕


「紬お姉ちゃん……私も思い出した……」


美嗣は、静かに、それでいて確かな口調で言った。


その言葉に、私は息を呑む。


美嗣も――あの日の記憶を、取り戻したのだ。


あの恐ろしい記憶を。


美嗣は、ゆっくりと語り始めた。


〔※美嗣/回想〕


***


親戚夫婦に迷惑をかけないようにと、お姉ちゃんが手紙を書き、留守を伝えた。


そして、私とお姉ちゃんは、おじさんのもとで一週間ほど世話になることになった。


おじさんは、優しかった。


いつも、私たちに穏やかな笑顔を向けてくれた。


おじさんの家での生活は、温かく、安心できるものだった。


けれど――私は、どこか寂しかった。


早く、お義父さんとお義母さんに会いたかった。


お姉ちゃんも、同じ気持ちだったようだ。


そして、一週間後。


私たちはおじさんに感謝を伝え、親戚夫婦の家へ戻った。


それから、一か月後。


恐れていたことが、ついに起こった――。


***


※美嗣の回想は次回へ続きます。


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