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第70話 手がかり1 ※美嗣の回想

〔※回想/美嗣〕


私は、偶然友達の家に泊まることになり、親戚夫婦の家を空けていた。


友達の家では、楽しい時間を過ごした。


ゲームをしたり、おしゃべりをしたり、美味しいものを食べたり――心が弾むひととき。


けれど、心のどこかで、ずっと親戚夫婦のことが気になっていた。


早く、お義父さんとお義母さんに会いたい。


その思いを胸に、私は友達の家を後にした。


そして、親戚夫婦の家に帰る。


「ただいまー!」


玄関の扉を開け、明るい声で呼びかけた。


しかし、返事はなかった。


「あれ……? 誰もいないのかな……?」


首を傾げながら、家の中へ足を踏み入れる。


そこで、違和感を覚えた。


家の中が、異様なほど綺麗に片付けられていたのだ。


まるで、誰も住んでいないかのように、整然としている。


「おかしいな……」


胸の奥に、じわりと不安が広がる。


家の中を歩き回るが、どこにも親戚夫婦の姿はなかった。


「一体、どこへ行ったんだろう……?」


ますます不安が募る。


その時――


鼻を突くような、鉄の匂いが漂ってきた。


「っ……!」


息を呑む。


鉄の匂い――


それは、血の匂いだった。


※美嗣の回想は次回に続きます。



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