目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

第71話 復讐 ※美嗣の回想

〔※回想/美嗣〕


私は、親戚夫婦の家から、慌てて飛び出した。


不安で、頭の中は真っ白だった。


どこへ行けばいいのかも分からず、ただ、ひたすらに走り続けた。


そして、たどり着いたのは、紬お姉ちゃんと泊めさせてもらっていたおじさんのラボだった。


みんなは私を温かく迎えてくれだが、おじさんは今日は留守らしい。

私はベンチに座り込み、深く息を吐き出す。


どうしよう……私は、どうすればいいんだろう……。


その時、ふと、あることが頭に浮かんだ。


両親のことだ。


両親は、親戚夫婦のことを快く思っていなかった。


「あいつらは、私たちからお金を奪っている」


そんな言葉を、私は聞いたことがある。


もしかして……。


もしかしたら……。


そして――お姉ちゃんも……。


両親が、お姉ちゃんや親戚夫婦を殺したのかもしれない。


そんな……! そんなはずはない……!


私は、強く首を横に振った。


殺されたなんて、考えたくない。


けれど、両親の行動は、どうも怪しかった。


やはり――両親が怪しい。


そう思った私は、考える。


まずは、自分の記憶を頼りに、両親の家を突き止めよう。


しかし――もし、いきなり両親の家に乗り込んで問い詰めたとしても、証拠がなければ追い返されるだけだろう。


両親は、きっと、何も教えてはくれない。


それどころか、私を……。


私は、恐怖に駆られた。


今の両親は、狂気に染まっている。


もはや、人間の心を持ち合わせていないのかもしれない。


そんな両親に、私はどう立ち向かえばいいのか。


深い絶望に飲み込まれそうになる。


その夜、私は眠れなかった。

天井を見つめながら、何度も同じことを考えた。

紬お姉ちゃんのこと、親戚のおじさん、おばさんのこと、そして――父のこと。



朝が来ても、私の悲しみは消えなかった。

それどころか、ますます深まっていった。


そして、私はようやく認めた。

紬お姉ちゃんを殺したのも、親戚夫婦を殺したのも――

他ならぬ、自分の父親だったという事を……。


私は絶望と悲しみに打ちひしがれ、

その心に、深い傷が刻まれた。


けれど――諦めることはできなかった。


お姉ちゃんのためにも、親戚夫婦のためにも。


私は、両親を止めなければならない。


私は復讐を果たすため、壮絶な戦いに身を投じることになる。




その夜、私は紬お姉ちゃんが出てくる夢を見た。


***


※次回は、美嗣が見た紬の夢のシーンから始まります。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?