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70.2人の『お嬢』

========= この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。暫く米軍に研修に行っていた。

大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。通称佐々ヤン

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。

デビッド・ジョンソン・・・アメリカ空軍軍曹。EITO大阪支部専従パイロット。

幸田哲夫・・・南部興信所所員。

倉持悦司・・・南部興信所所員。

花菱綾人・・・南部興信所所員。

横山鞭撻・・・南部興信所所員。

松本悦司・・東京の天童に同じく、かつて大文字伝子と闘った。EITO大阪支部武術顧問。元大阪府警巡査。


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= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


※住吉大社は、大阪府大阪市住吉区住吉にある神社。式内社、摂津国一宮、二十二社の一つ。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。全国にある住吉神社の総本社である。本殿4棟は国宝に指定されている。 山口県下関市の住吉神社、福岡県福岡市の住吉神社ともに「三大住吉」の1つに数えられる。

※2020年、毎年、正月三が日におよそ230万人が初詣に訪れる大阪の住吉大社では、参拝客が密状態になるのを避けるため、初詣の時期は境内の露天の出店を、すべて取りやめることにしました。流行病の影響で、多くの人が触れるおみくじの筒を抗菌加工したり、消毒薬を増やしたりした工夫が見られた。

また、参拝客を分散させるため、来年は正月三が日にこだわらず、2月2日の節分までに初詣をしてほしいと呼びかけていました。混雑が激しくなった場合は、境内への入場を制限すると宣言されました。この頃、屋台(露店)も境内には出店しない措置が執られ、現在も続いている。参道や付近の店による露店は、住吉大社とは関係無い。


1月2日。午後2時。EITO大阪支部。司令室。

小柳警視正から、東京本部では元日に引き続き、大変な事件が起っていることは連絡が来たが、応援要請は来なかった。

大前としては、『押しかけ応援』はしたくなかった。

こちらでも事件が起る可能性はゼロでは無かったからだ。

先日は、『時の氏神』と名乗る者が現れて、混乱した。

松本が呼ぶので。訓練場に大前が言ってみると、一匹の柴犬がいた。

「どうしましょうね、コマンダー。野良犬かな?首輪の後がないし。」

困り果てた松本の元に、二美が段ボールを持って来た。

バイクに乗った用賀が来て止めた。

二美が段ボールを荷台に括り付けた。

「保健所はまだ閉まっているから、俺、知り合いの犬飼ってる家に連れていきます。」

「私が伴走します。」と、真壁が言った。

真壁は昨日の夜やって来て、宿直当番の二美のいる宿直室に泊まったのだった。

「そうか。まだ、御用納めしたばっかりやったな。よろしく頼む。」

二美は、真壁の後部座席に跨がり、2台のバイクは去って行った。

「昔は飼ってたこともあるけどなあ。飼うとあまり出掛けられないし。」と、松本が言い、「いや・・・まあ、結果オーライでしょ。それより正月早々?」

「ああ。頂き物の神棚。家にもあるしなあ、と思って道場なら、と。置いてもいいですよね。ああ、いいですよ。」

それなら、と、住吉神社にお参りに行っている筈の総子に電話をした。

大前は、住吉大社の宮司に、折りを見て『お清め』に来て貰うようにお願いして、と総子に指示をした。

「引き締まっていいのと違いますか?頂き物って、真新しいけど。」「ああ、これ作って言える大工さんと知り合いなんです。別にどこかに祀ってあった訳じゃない。新品です。こういうのをリサイクルに持って行くのもどうかな?って思って。」

午後3時。

禰宜と旧知の総子は、大前の申し出を伝え、一緒に参拝していた小町と社務所を後にした。

2人は、来た時は阪堺線西大鳥居を抜けて、有名な『太鼓橋』を渡ったが、帰りは『魚鳥居』の方から出た。

談笑していた2人だったが、鳥居の近くの集団を見て顔色が変わった。

何人かのカメラマンの影になって、遠目には見にくいが、鳥居に何やら液体をかけようとしている者達がいる。

小町は英語で叫んだ。”What Are You Doing Here!!” (ここで何をしている!!)

カメラマン達が振り向いたので、様子が露わになった。

他の参拝客から悲鳴が上がった。

その中の1人が「ちゃんと撮影きょ・・・。」と言いかけた途端、振り袖を捲り上げた2人はハイキックを見舞った。

そして、総子はイヤリングを弄って、『通報』と呟いた。

EITOエンジェルズのイヤリングは、東京本部のエマージェンシーガールズのイヤリング同様の『通信機』になっている。オスプレイを経由して、不審者達は警察に通報されたのだ。

彼らを見た時に、総子は既にイヤリングを弄って通信スイッチを入れている。

小町は、彼らに『桜の代紋』を見せていた。

脱兎のごとく逃げようとした15人の男達は、2人によって、あっと言う間にねじ伏せられれた。

この様子をスマホで撮影していたのは、先日復帰したばかりの美智子だった。

小町が英語で叫んだのは、近年、外国人による犯罪が多く、ことに神社仏閣に悪戯してどや顔する不届き者が多いからだ。さらに、地方によって、『警察が及び腰』であることがSNSで拡散されている。

やがて、パトカーで警察官達がやって来た。

総子は『民間人』だが、小町は現役の警察官である。

警察官達は『警視』の小町に敬礼し、逮捕連行していった。

参拝客の中から、振り袖の2人に不思議そうに「あんたらは一体?」と問いかけた。

「正義の味方や。なんぞ問題でも?」と総子は逆に尋ねた。

午後5時。EITO大阪支部。会議室。

「タレコミは正しかったな。大阪天満宮のぎんのチームも大鳥大社のジュンのチームも不審者達を取り押さえた。地元警察と南部興信所の協力のお陰や。それと、タレコミをした週刊誌「どっと混む」の記者井上が府警に出頭して、半グレの「虚産産業」が闇サイトを利用した犯罪と分かった。井上は、利用されて『いっちょかみ』させられたらしい。虚産産業は、今日が「仕事始め兼新年会」らしい。ダブルヘッダーやが、頑張ってくれ。用賀君、デビッド、用意を始めてくれ。場所は住吉公園近くの貸しビル。時間は午後6時半や。」

大前の説明に質問をする者はいなかった。

『いつもの手筈』をすればいいことだからである。

午後6時半。住吉公園近くの貸しビル。

その事務所にメールが届いた。

「住吉公園に来い。正義の味方」と書いてある。

血相変えて、社員達は拳銃を持って近くの住吉公園に走った。

今日は曇天でも雨空でもないが、辺りは薄暗くなっていた。

彼らにスポットライトが当たった。いや、2機のオスプレイからライトが当たったのだ。

ブーンという羽音と共に、彼らは4つのネットをかけられた。

羽音はホバーバイクの、静かな移動音だった。

ホバーバイクとは、民間会社が開発、EITOが採用・改造して戦闘もしくは運搬用に利用している『宙に浮くバイク』だ。

先日から、『標準装備』になった、ツインキャッチネットで『ねずみ取り』をしたのだ。

EITOエンジェルズが現れた。「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ!!満を持して。」

総子の口上が終ると、彼女達は全員で『突っ張り棒』で彼らを突きまくった。

拳銃を携帯しているにも拘わらず、彼らは使えなかった。

地面に延びた彼らの額に、EITOエンジェルズ達は墨で×印を書いて行った。

美智子が長波ホイッスルを吹いた。

長波ホイッスルとは、犬笛に似た通信機で、オスプレイを経て府警に『戦闘終了』の合図を送る。EITOエンジェルズには、悪党を追い詰め懲らしめる所までは許されているが、逮捕連行取り調べは警察の仕事なのだ。

佐々ヤンこと佐々刑事と待機していた警官隊がやって来た。

「ガサ入れしたら、仰山、『お年玉』が出てきたよ。」と、珍しく佐々ヤンは軽口を叩いた。

午後8時。南部家(南部が借りているマンション)。

智子と、芦屋三姉妹と南部夫妻の新年会が始まった。

「小柳さんの話では、井上記者はもう引退しているものの、電波オークションする前の芸能界を取材していた井上は『腐れ縁』のまま利用されていた。EITOやEITOエンジェルズのことを知った井上は、警察に保護して貰いに行った、ということや。」

「ええ人ヤン、井上さん。」と総子が言うと、「まあ、そうかな。で、総子はいつ引退するの?妊娠してるよね。あまり、無茶しちゃダメよ。」と、三美が言った。

「二美ネエ、手帳見たん?あれ、間違いやった。まあ、大丈夫。今日も頑張るし。なあ、ダーリン。」

「ああ、頑張って食べるよ、おせち。」

「ちゃうやん、もう!!」

皆の笑いは、暫く止まらなかった。

―完―







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