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73.写真

========= この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。暫く米軍に研修に行っていた。

大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。通称佐々ヤン

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。

友田知子・・・南部家の家政婦。実は芦屋グループ社員。

幸田仙太郎・・・南部興信所所員。


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= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


※写真復元サービス

写真にじかに手を加えるのではなく一度コンピューターに取り込んで、 その画像データを復元するサービスのこと。富士フィルムの関連会社で扱っている。



午後1時。総子のマンション。

南部は、何か捜し物をしていた。

「興信所の所長さんが、捜し物ですか?」

「うん。ちょっと。」

「これやろ、寅次郎。」

総子が出した、1枚の写真。

南部は、写真立てから無くなっていた、写真を探していた。

若い頃に亡くなった、先妻の咲子の写真だった。

折れて皺くちゃになった写真だったが、箪笥の奥にしまってあった写真立てから写真が忽然と無くなっていたのだ。

「はい、これ。元の写真と一緒に納して(なおして)おきよ。先輩妻の写真。」

総子が出した、もう一枚の写真は、『復元写真』だった。普通は、デジカメやスマホで撮影したデジタルの写真の復元を指すが、『写真復元サービス』でアナログ写真からデジタル写真の複製を作ることである。

「三美ネエに相談したんや。大事にしいや、ダーリン。」

「ありがとう、愛妻くん。あ、お座敷かかったみたいやで。」

EITO大阪支部から、総子に指令が入った。

「墓参り、付き合いたいけど、無理やな。」

総子は、EITO大阪支部とのホットライン電話を取った。

「総子。昨夜、東大阪市で発生した『追い剥ぎ事件』の被疑者が、玉造付近で非常線に引っかかって、逃走中。国道308号線を杭全(くまた)方面に向かって南下中。路地に逃げ込む場合もあるから、小柳さんからEITOに救援要請や。三美には連絡した。お前は、そっちのオスプレイで追い掛けてくれ。」

「了解。」

エレベーターで地下二階に総子が着くと、オスプレイに乗った三美が待機していた。

芦屋三姉妹は三人とも、操縦資格を持っている。三美は、こういう時は、会社を部下に任せて自ら出陣する。以前は、二美が総子のマンション棟に住んでいたが、今は用賀と結婚して、違うマンションに住んでいる。500メートル先だが、ここに来るのに時間がかかる。それに、今の時間はEITO大阪支部だ。総子は午後から出勤予定だった。

総子が乗り込むと、オスプレイは裏山から、そっと上昇。次いで、一気に現場に向かった。

やはり、帝塚山にあるオスプレイより、西九条にあるEITO大阪支部のオスプレイの方が早かった。

用賀のホバーバイクと大前のホバーバイクが、自動二輪バイクを追いかけ回し、追い詰めた。

ホバーバイクとは、民間会社が開発、EITOが採用して改造、戦闘または運搬に利用している『宙に浮くバイク』である。空中からの追走だから、路地なんて関係ない。

白バイには出来ない芸当である。

追い詰めたところで、弥生といずみの『ツインキャッチネット』が2人の被疑者を確保した。

小町が、網をくぐり抜け、2人の男の股間を蹴った。

『ツインキャッチネット』が、上昇して、離れると、総子が2人の男のベルトを外し、ズボンを引き下ろした。

EITOエンジェルズは、充分練習したかのように唱和した。

「かわいーーーーーいいっ!!」

2人は、その場に蹲った。

ジュンとぎんは、奪った荷物を改めた。

「コマンダー。『おいはぎ』したのは、女性からですね。『お仕置き』は有効ですよね。」

二美は、2人を撮影した上で、長波ホイッスルを吹いた。

長波ホイッスルとは、待機している警官隊に「戦闘終了」の合図を送る、犬笛に似た笛だ。

大前と用賀は、急いで2人のズボンを上げて、身繕いさせた。

パトカーが10台到着した。

佐々ヤンが呟いた。「1台で間に合ったかな、チーフ。」

総子は苦笑して言った。「多分。」

EITOエンジェルズ達は、クスクスと笑った。

午後5時。平野区。喜連瓜破(きれうりわり)

墓地に総子と南部がやってくる。

「今年は、五十回忌。亡くなって49年目や。三十三回忌の時、やりそびれてなあ。」

「それで、金庫の部屋に納して(なおして)るんか。可哀想やナインか、寅次郎。」

「兄貴が生きてたら怒られるかな、と思ってたけどね。」

突然、薄闇の中の墓がライトアップされた。

「思ってたけどね、じゃないわよ。明日、仏壇用意させるから。」と三美が言い、後から来た、坊さんが「じゃ、今日は仮、短縮版のお経をあげましょう。」と言った。

そこに、大前以下、EITO大阪支部の連中がやって来た。

読経の間、皆神妙に手を合せていた。

「しっかりした後妻さんやね、南部さん。後日、また・・・。」

会釈をして、見送った南部は、「あ、ライトアップなんかしたら・・・。」と言いかけた。

「総裁がライトアップしてくれて、付近にきちっと仁義つけてくれたから、心配ないですよ。」と、紀子が言った。

「夜這いするほど、惚れ込んでいるからね、総子は。」と、一美が笑った。

「夜這い?」と首を傾げる真壁に、「幸田さんが言ってたよ。有名な話らしい。」と、一美が説明した。

「幸田のやつ・・・。」と言った総子に南部は、「減給か?所長夫人。」と言うと、「ボーナスやって下さい。」と、総子は平然と言った。

午後7時。総子のマンション。

総子は、赤飯を食べながら、寝てしまった。

南部は、笑いながら、『お姫様だっこ』をして、総子を寝室に連れて行った。

知子は、そっと「ほな、お先に失礼します。」と言って、エレベーターに向かった・

―完―


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