隣国へのキャラバンにパパと一緒について行った私は、帰り道に差し掛かる深いジャングルの中で、パパたちとはぐれてしまった。
「ねぇ! パパー!」
『……』
「みんなー!? どこーなのー?」
『……』
気づけば、私はパパたちとは反対の方向に進んでしまっていた。
知らないうちにジャングルの奥深くまで迷い込んでいたようで、戻ろうにも、来た道がわからない。
「パパ〜! みんな〜! 誰か助けて〜! お願いだから!」
思いっきり声を張り上げて助けを求めたけど、誰も答えてはくれない。
そして……、何度もそうやって叫んでるうちに私の喉はかすれ、遂には声も出せなくなってしまった。
途方に暮れた私はふと辺りを見渡す。
すると、気づかないうちに辺りはもうすっかり暗くなっていた。
「みんな……」
私は弱々しい声でもう一度呼びかけてみる。
すると……。
『ホ?』
「え!?そ、そこに誰かいるの!?」
私は聞こえてきた声のあたりを探す。
すると……。
『バタバタバタ』
ジャングルの高い木の上から大きな鳥が飛び立つ音だった。
『ホー! ホー! ホー!』
「なんだ、鳥だったのね。
びっくりしたわ」
緊張が解け安心した私は深く息を吐いた。
そして、肩の力が抜けた次の瞬間だった……。
『ガサガサガサ!』
「えっ!?……誰!!?」
突然、藪の中から、何かがものすごい勢いでこっちに向かってきてる。
「キャア!!」
逃げる間もなく、私は思わず両腕で顔を覆った。
すると……。
『ビューン!!』
それは、弓矢が放たれる音だった。
この突然すぎる状況に、私は死を覚悟した。
『グワァー!!!』
「え、何!?」
闇夜の中を突き破るように響き渡る叫び声。
それは同時に、矢の標的が私ではなかったことを知らせてくれた。
「私……助かったの?
矢に当たったのは、さっきの鳥かな?」
『ドビダダビタダブ?』
「え?」
聞き慣れない言葉に戸惑いつつも、声の主にゆっくりと顔を向ける。
すると……。
藪の中から、手には弓矢や槍を握りしめ、
上半身裸で鮮やかなペイントをまとった男たちが姿を現した。