マッラの戦士達はカムラの言う事にはまるで聞く耳はもたない。
私が事態の先行きを不安に感じていると、
パパがまた何かを話始めた。
『不可触の民よよく聞きなさい。
我々は人質、いいや、生贄を用意している』
生贄? 一体どういうこと?
『そこの泥棒猫ちゃん?
君はこの子ゾウに見覚えがあるかな?』
パパはカムラに向けてそう言うと、
カムラの大切な家族の脚を縄で縛り、自由を奪うと、目の前へと運んできた。
え、確か彼女って……カムラちゃんの!!
「くそっ、卑怯だぞ、てめーらー!!」
『いいんですか隊長?
あの泥棒猫、物凄い剣幕で走ってこっち向かって来ますぜ』
「構わん、早く
「はっ!」
すると、子ゾウめがけ戦士の二本の重い槍が襲い掛かる。
『ドスー!、ドスー!!』
「…………」
ほんの刹那の出来事に対し、
両陣営の戦士達はみな会話を辞め、
ただ黙って飛び散ったその血しぶきの先をみつめている。
「キャャャー!!!」
目の前の残酷な惨状に対して、私には怒りよりも先に本能的な恐怖が襲いかかる。
しかし、その時の無力な私には、反射的に両手で視界を塞ぎ
ただ悲鳴を上げることくらいしかできなかった。
「パーラ〜!!!!!!!!!!」
※カムラの声