店長はメメさんに微笑みながら声をかけた。
「メメさん、ちょっとお話があるんです」
するとメメさんは驚いた表情で顔を上げる。
「どうしたの?」
店長は手元の資料を整理しながら続けた。「近々、寝具店てろめ屋で催事を開催するんですが、私が産休に入るので他のスタッフから招待させていただきたいんです」
するとメメさんは少し考え込んでから呟いた。
「その娘がいいよ」
「え?」
当然、店長も、そしてハル自身も驚きを隠せなかった。
「丁度いいわね♪ハルちゃん?
あなたに名誉挽回のチャンスをあげるわ」
メメさんはそう言いながら悪戯っぽく微笑む。
「え、あたし?」
ハルはメメさんの予想外の提案にすぐには理解が追いつかなかった。
「メメさん、この
さすがに店長も念を押して尋ねた。
「この娘じゃ不満かい?」
「いいえ、そんなことありません。
だ、大丈夫よね、ハル?」
店長はぎこちない笑顔を作りながら、
心配そうにハルの方を向き尋ねる。
「クシュん、クシュん」
「ハルちゃん、もしかして泣いてるの?」
店長は心配そうにハルの顔を覗き込んだ。
「い、いえいえ。もちろん喜んで。
最高の笑顔で、おもてなしさせていただきまシュ!」
物語的にわりと重要な場面のはずだったのだが、
ハルの奇妙なクシャミで全て台無しである。
「うふふ、ハルちゃん……面白い娘ね♪」