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第37話 何者かの気配

一方その頃──。

ハルは薄暗い森の中で足を止めていた。

迷子になったことに気付き、辺りを見回す。無数の木々が彼女の視界を遮り、風が葉を揺らす音が、静寂の中に不気味な存在感を放っている。


どこからか感じる何者かの気配。

それは言葉では表現しきれない、重く冷たいものだった。


胸の奥から湧き出る本能的な恐怖に突き動かされ、ハルは思わず駆け出した。

足音が湿った地面を蹴り上げ、呼吸が荒くなる。


しかし、それは後ろから近づいてきた。

鋭い視線を感じた瞬間、それはすでにハルを追い越し、回り込んで立ちふさがっていた。

逃げ道がない。


「なあ、お前は……誰だ?」


低く響く声が耳を貫き、ハルの足がすくんだ。

その問いかけに込められた何か得体の知れないものが、彼女の心をさらに不安で染め上げていく。



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