一方その頃──時はハルと古代への出発前のこと。
未来世界の鈴は、事故で記憶を失った妹、蘭を案じていた。
数日後。
蘭は記憶交換の施術により、まるで別人のようになってしまい、鈴はその変化に心を痛めた。
しかし、妹の体に妹の記憶を取り戻せるかもしれないと考えられる古代のアイテムの存在を耳にする。
そのアイテムを使うことで、生体内の微弱な磁気や電気信号に干渉し、脳内のシナプスに作用することで、鈴たちが生きる未来世界においても実現不可能だった器となる脳自体の疾患にも左右されず人物の記憶の移植がより簡単に出来るようになるらしい。
一瞬の希望が鈴の胸を灯す。
さらに調べを進めると、そのアイテムは「創造主」が作り出したアーティーファクトの一つであることが判明した。
ペルム紀の大量絶滅の際、混沌と化した世界を鎮めるために生み出された神秘の遺物だという。
ただし、ペルム紀は非常に危険な時代だ。
鈴は妹とともに、気を引き締めて三畳紀の初期へと向かうことを決断した。
タイムマシンが静かにその時空を切り裂き、鈴と蘭は三畳紀へ到着する。
しかし、創造主が作った「希望」に纏わるアーティーファクトは鈴の期待も虚しく、バラバラに壊れていた。