大陸を揺さぶり、まるで星の鼓動みたいなエネルギーを持ったマグネタイト。
昔は希望の輝きを放っていたその石も、今じゃただの鉄の塊として、
砂にまみれ砕けた姿をさらしてる。
その光景が、鈴の瞳に焼きついた瞬間、
底知れぬ絶望が波のように押し寄せ、その場にへなへなと崩れ落ちた。
妹の蘭とのたくさんの思い出や絆を繋ぎ止めるたった一つの希望だったアーティファクト。
鈴にとって、それは世界の全てに等しい、かけがえのない宝物だった。
なのに、今、目の前で無情にもバキバキに砕け、手のひらに残ったのは冷たい破片だけ。
握りしめた小さな拳は、ブルブルと震えて、どうしようもない絶望の色を滲ませる。
ああ、もうダメだ……そんな悲痛な叫びが、鈴の心の中で木霊した。
潤んだ瞳は、まるで時間が止まったみたいに、散らばった瓦礫の一点を見つめる。
そこに宿っていたはずの希望の光は、もうどこにも見当たらない。
ポカポカとした温かい気持ちは、どこかに置き忘れたみたいに跡形もなく消え失せ、
鈴の胸に残ったのは、冷たい風が吹き抜けるような、がらんとした空っぽの感覚だけだった。
それからどれくらい時間が経ったんだろう。
鈴はまるで魂が抜けたみたいに、ゆっくりと息を吸い込んだ。
あれ!?、蘭がいない——。
「蘭……どこにいるの……?」
乾いた喉から絞り出した声は、幽霊の囁きみたいに弱々しく宙を漂って、冷たい風にさらわれて消えた。