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第51話 反撃のチャンス

一方その頃——。


空を切り裂く烈風が、戦場に荒々しい旋律を刻む。

意識もろとも翠嵐の姫と化した蓮姫は、疾風のごとく舞いながら、マグナの圧倒的な地の力に立ち向かっていた。


「甘い……そんな鈍重な攻撃じゃ、私には届かない!」


まるで別人のような彼女の冷たい声が響くと同時に、風が渦巻き、マグナの巨大な岩塊が砕け散る。

彼女はただ回避するのではなく、風の力を利用して攻撃を分散・拡散——ダメージを最小限に抑えつつ、追撃の機会を見出していた。


——轟音。


地面を叩きつけるように、マグナが岩の拳を振り下ろす。

その一撃は、大地を削り取り、爆風となって戦場を覆った。


しかし——


「遅いわよ。」


姫はすでにそこにはいない。

風とともに舞い上がり、上空からマグナを見下ろしていた。


「さあ、こっちの番よ。」


風がうねり、彼女の手元に集う。

瞬間——彼女の指先から放たれるのは、無数の刃となったかまいたち。


シュッ——ズバッ!!


鋭い風刃がマグナの岩の鎧を切り裂き、抉っていく。

だが、それでもマグナは揺るがない。


「フン、まだ生ぬるいな。」


次の瞬間、彼女は足元に強烈な気配を感じた。


「——ッ!」


地面が隆起する——岩の柱が無数に立ち上がり、彼女を囲い込む!

瞬時に後方へ跳躍するが、マグナの狙いは別にあった。


「そこだッ!!」


ゴゴゴゴゴ——ッ!!


岩の檻のような構造が閉じ、逃げ場を塞ぐ。

マグナの狙いは、彼女の動きを封じることだった。


だが——


「その手には乗らないわ!」


姫は息を整え、静かに目を閉じる。

風が、彼女の意識と一つになる。


「——嵐よ、私に応えなさい。」


瞬間——!!


轟音とともに、突風が巻き起こる。

風の圧力が岩の檻を粉砕し、姫の体を疾風のように押し出した。


マグナの予測を超える動き——風に乗る彼女の戦術は、もはや規格外だった。


「いいわ、その覚悟、見せてもらう……!」


姫の周囲に新たな風が旋回する。

それは力を増し、次なる攻撃の狼煙となる——!!


しかし、その時——


マグナの全身に亀裂が走り、異様な気配が漂い始めた。


「フン……ようやく面白くなってきたな。」


大地が揺れる。

岩の表面が砕け、そこから溢れ出る赤黒い闘気。


「お前の風……確かに厄介だ。だがな——」


ゴゴゴゴゴ——ッ!!


咆哮とともに、マグナが変容する。

硬質だった岩の鎧がひび割れ、真紅の輝きが彼を包み込んだ——。


そして——


「ここからが本番だ!」


マグナ、第二形態——覚醒。


戦場に、新たなる嵐が巻き起こる——!!



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