戦場が吠える——!
ゴゴゴゴゴ……ッ!!
大地が震え、轟音が戦場に響く。
マグナが岩の殻を脱ぎ捨て、彫刻のような肉体をさらけ出した瞬間——その気配は激変していた。
まるで鍛え抜かれた戦士のごとき肉体。
しなやかでありながら圧倒的な強度を持つ腕。
動作に一切の無駄がなく、凄まじい破壊力と速度を秘めた——まさに格闘の化身。
「さあ、俺の本気を見せてやる——。」
その言葉と同時に、マグナの姿がかき消えた。
バッ!!
「——ッ!」
姫はすぐさま警戒する。
しかし——遅い。
ドガァァッ!!
爆発のような衝撃が彼女の腹部に拳が突き刺さり、そのまま宙を舞うように吹き飛ばされた。
「ぐっ……!!」
口から息が漏れる——いや、息が詰まるほどの衝撃だった。
まるで岩そのものを叩き込まれたかのような威力。
しかし、マグナの猛攻はここからが本番だった。
姫が体勢を整える間もなく——
シュバッ!!
マグナの拳が第二の猛撃として襲いかかる!
「くっ……!」
彼女は咄嗟に後方へ跳躍する——だが、それすら見透かされていた。
「逃がすかッ!!」
ガガガガガ!!
嵐のような連撃。
左ジャブ、右ストレート、肘打ち、回し蹴り——すべてが洗練され、完璧なコンビネーションで繰り出される。
姫は何とか腕を交差させ防御の構えを取る。
しかし——
バキッ!!
マグナの右拳が姫のガードを粉砕する。
その瞬間、彼女の体が反動で大地へと叩きつけられた。
「……っ……ぐ……!」
全身が痛みを訴える。
だが、ここで止まるわけにはいかない——。
彼女は必死に立ち上がり、風を纏う。
しかし——
「俺には無駄だ。」
ゴゴゴゴッ!!
マグナの足元から赤黒い闘気が噴き上がる。
それはまるで嵐のような勢いで、彼の全身を覆い尽くしていた。
「物理ダメージ無効。風ダメージも無効。お前の風回避も——通用しない。」
——絶望。
「そんな……!」
姫は愕然とする。
これまでの戦いでは、風を武器にして勝利を掴んできた。
しかし、マグナの第二形態は、そのすべてを封じる力を持っていたのだ。
回避できない。
攻撃できない。
防御しても無意味。
「終わりだ!!」
ゴォンッ!!
マグナの膝蹴りが姫の顎を打ち抜く。
意識が揺らぐ。
だが、まだ終わっていない——!
マグナが跳躍し、高速回転からの踵落とし——!
ドガァァッ!!
その一撃が彼女の肩に命中する。
地面が抉れ、衝撃波が戦場全体を覆うほどの強烈な蹴り。
「くっ……このままじゃ……!」
彼女は痛みを堪えながら、次なる攻撃を警戒する。
だが——
マグナはすでに次の動作に入っていた。
彼の身体が再び沈む。
低い姿勢から、無駄のない踏み込み——そして——!
「これで終わりだ——!!」
マグナの拳が閃き、顔面へと突き刺さる——!!
翠嵐の姫〔蓮姫〕、危機一髪!!