賢一たちは、とにかく、スポーツジムから飛び出ようとして、必死で走ってゆく。
「皆さん、早くっ! 外でも、ゾンビが走っていますっ!」
「コイツ等は、フレッシャーだったね? 素早い動きが厄介な連中だよっ!」
メイスーとモイラ達は、窓から入ってくるゾンビ達の頭を、それぞれが握る刃物で斬りまくった。
「ああ、邪魔な奴等だっ! うらっ!!」
「うわっ! ボドワン軍曹、クライヴ伍長っ!! やはり、ゾンビに…………」
「グズグズしていると、俺たちも仲間入りするぜっ!」
ジャンは、アダムス二等兵を抱えながら、道を塞がんと立ちはだかるゾンビを蹴っ飛ばす。
そして、やはり、大柄な防弾ゾンビの正体は、ボドワン軍曹であった。
また、通信器を背負っていたのも、クライブ伍長であり、今は床に倒れている。
頃がっている死体に、足を取られないように、ダニエルは走っていく。
「急げ、
「グゲッ!」
そう言いながら、賢一は最後尾になり、ゾンビ達を特殊警棒で殴りまくる。
他の仲間たちは、窓から飛び出て、走りながら道路を右に向かっていく。
「賢一、私たちの銃は、もう弾切れが近いっ! 早く逃げないと、不味いよっ!」
「アアアアアアーー! グアッ!」
「分かってるぜ、今出ていくっ!!」
外に出ているモイラは、フレッシャーを蹴飛ばすと、スポーツジムの正面玄関へと走っていく。
路上に飛び出してから、ゾンビやフレッシャー達とは、距離を取りながら、賢一も逃走する。
「ギャアアアアアア」
「グルアアアアーー」
「うわあーー!! 食われるぅぅ~~~~!?」
「グアッ!」
「なら、足を動かしなさいっ!」
白人女性フレッシャーは、滅茶苦茶に体を振り回しながら追いかけてくる。
正面からは、黒人ゾンビが小走りで、七人を餌にせんと、近寄ってくる。
先頭を、必死で走りながら、ダニエルは自身の前に、立ちはだかる整備士ゾンビを殴った。
モイラも、多用途銃剣を振り回して、いく手を阻むゾンビ達を蹴散らしていく。
そうしているうちに、七人はスポーツジムの曲がり角を曲がった。
「軽トラが見えましたっ! 皆さん、あと少しですっ! 頑張って下さい」
「銃声がっ! みんな、後ろからだけじゃないっ! 市役所にも、連中が集まっているぞっ!」
「何が起きているんだ…………」
「分からねーーよっ! とにかく、今は軽トラまで走るしかねえっ!」
「そうだ、頼むから俺を安全圏にまで、連れてってくれええ~~~~」
メイスーが叫ぶ中、銃撃音が轟き、市役所の方では、戦闘が行われている様子が伺えた。
賢一も、軽トラを目刺しながら、マチェットや鉄パイプを握るゾンビ達が走る姿を目にする。
「グルアアァァァァ」
「ぐあっ! しかし…………噛まれる前に、やってしまえばっ!!」
「賢一さんっ! 危ないっ!」
「ほら、ジャン? はやく、アダムスを乗せるんだよっ! 私が敵を食い止めている間にっ!」
「分かった、頼むぞ」
「おい、早くしてくれぇ」
最後尾を走っていたため、鉄パイプ槍を握るゾンビに、賢一は右側から襲われてしまった。
彼の右頬を、穂先が掠める中、メイスーは中華包丁で、敵を斬りつける。
軽トラの荷台では、モイラが仲間を呼びながら、コルト45を射ちまくり、群がる死者たちを殺す。
ジャンは、アダムス二等兵を、車に上げると、今度はモスバーグM500を取り出す。
「この野郎っ! 槍なんか、内側に入れば怖くはないんだよっ! うらあっ! メイスー、今だっ! 頭を狙うんだ」
「グビャヒャアッ!?」
「は、はいっ!? これで、終わりですっ!!」
鉄パイプ槍を交わしながら、内側に入り込んだ、賢一は特殊警棒を、敵の顔面に叩きつけた。
メイスーは、槍使いゾンビの背後から後頭部を、中華包丁で、ザクッと斬った。
「段々と集まって、来やがるな?
「グアッ!」
「ギャアッ!」
「朝の通勤時間てか? ふざけんじゃね~~~~!?」
「いいから乗ってよ、早く市役所まで移動するのよっ!」
「グルアア~~」
「運転は、私がやるわっ! さあ、二人とも? イチャラブは後にして」
散弾を放ち、ジャンは両手で握るレミントンM870のポンプを引いて、ゾンビ達を倒す。
愚痴を言いながら、ダニエルは荷台へと飛び乗り、トンプソンを撃ちまくる。
ハチェットを振り回して、群がるフレッシャー達を、エリーゼは撃退しようとする。
モイラは、運転席に乗り込み、逃走するため、エンジンを始動させた。
「いちゃラブ言うなっ! メイスー、先に行けっ! 荷台に乗るんだっ!」
「はいっ! 賢一さんも、遅れないで下さいっ!」
「グルアアアア~~~~」
「ギャアアァァァァーー!!」
ロングナイフや釘バットを握る、ゾンビ達の攻撃を避けながら、賢一は軽トラに向かう。
彼よりも、先に走るメイスーは、何とか荷台の鉄板を掴むことが出来た。
「賢一、置いてくよっ! さっさと乗りなっ!」
「ゾンビ達は、任せなさいっ!」
「気にするなっ! もういい、乗ったから走らせろっ!」
ゆっくりと軽トラは走りだし、モイラは運転席から叫び、エリーゼは群がるゾンビ達を攻撃する。
彼女は、荷台に近寄るゾンビを蹴り飛ばし、向かってくるフレッシャーの頭をスカンジウムで撃つ。
その間に、賢一も車体後部から飛び乗り、無事に乗り込む事ができた。
だが、そこへ運悪く、スポーツジムの上から、ジャンピンガー達が勢いよく降ってきた。
「うわっ! じゃまよっ! みんな、確りと掴まってなっ!」
軽トラで、モイラは多数のゾンビ達を引き殺そうと、速度を急加速させた。
「うわ、揺れるっ! 不味いっ! 散弾を撃っている暇がないっ!」
「うわああああっ! こりゃ、ヤバイぜっ!」
「うっ! 大丈夫なのか? 脚が痛むぞ」
「騒がないで、もうすぐ市役所が見えるから」
ジャンとダニエル達は、軽トラから振り落とされないように、
鉄板に、足を当ててしまい、ズキリと痛みを感じたため、アダムス二等兵は文句を言った。
だが、市役所の建物が視界に入ると、エリーゼは落ちついた顔で、様子を確かめようとする。
そこでは、軍人や生存者たちが、ヘスコ防壁から銃を撃ちながら、ゾンビを撃退する姿が見えた。
しかし、いきなり、ポンッと言う風を切るような音が聞こえたあと、今度は爆発音が鳴り響く。
「砲撃だっ! 迫撃砲を誰かが撃っているんだよっ! これじゃあ、ゾンビ達が市役所に侵入してしたうわっ!」
軽トラを走らせながら、ゾンビ達を引き殺しつつ、モイラは叫んだ。
連続で、木霊する砲撃音は、皆に恐怖を与えるだけでなく、市役所の防御体制を崩してしまった。
「うわっ! ゾンビが市役所に侵入してきやがるっ! フレッシャーとジャンピンガー達だっ?」
「鉄パイプ槍、マチェットを持った奴も見えますねっ! このままでは……です」
砲撃で吹き飛んだ箇所からは、通常のゾンビではなく、知能と身体能力に優れた感染者が侵入する。
それを見て、賢一とメイスー達は、額から汗を滴しながら戦闘に備えた。
「装甲車も、破壊されているわっ! みんな、軽トラをヘスコ防壁に横付けするから、降りるしかないわよっ!」
「アダムス二等兵は、俺が受けとるっ! ダニエル、頼むっ!」
「分かったよっ! ほら、早く行くんだっ!」
「済まないな? はっ!」
「敵襲ーーーー!?」
「ゲリラが襲撃してきたぞーー!?」
正面入口に、停車してある、コマンドウ装甲車は、上部からの砲撃で炎上していた。
仕方がないので、モイラは、ヘスコ防壁が崩れている正面左側へと、軽トラを停める。
そこに、ジャンが飛び乗ると、ダニエルに搬出作業を手伝うように頼んだ。
しかし、アダムス二等兵が、彼の肩を借りながら歩きだした瞬間、市役所から声が轟いた。