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第29話 市役所に戻れ


 賢一たちは、とにかく、スポーツジムから飛び出ようとして、必死で走ってゆく。



「皆さん、早くっ! 外でも、ゾンビが走っていますっ!」


「コイツ等は、フレッシャーだったね? 素早い動きが厄介な連中だよっ!」


 メイスーとモイラ達は、窓から入ってくるゾンビ達の頭を、それぞれが握る刃物で斬りまくった。



「ああ、邪魔な奴等だっ! うらっ!!」


「うわっ! ボドワン軍曹、クライヴ伍長っ!! やはり、ゾンビに…………」


「グズグズしていると、俺たちも仲間入りするぜっ!」


 ジャンは、アダムス二等兵を抱えながら、道を塞がんと立ちはだかるゾンビを蹴っ飛ばす。


 そして、やはり、大柄な防弾ゾンビの正体は、ボドワン軍曹であった。



 また、通信器を背負っていたのも、クライブ伍長であり、今は床に倒れている。


 頃がっている死体に、足を取られないように、ダニエルは走っていく。



「急げ、殿しんがりは任せろっ!」


「グゲッ!」


 そう言いながら、賢一は最後尾になり、ゾンビ達を特殊警棒で殴りまくる。


 他の仲間たちは、窓から飛び出て、走りながら道路を右に向かっていく。



「賢一、私たちの銃は、もう弾切れが近いっ! 早く逃げないと、不味いよっ!」


「アアアアアアーー! グアッ!」


「分かってるぜ、今出ていくっ!!」


 外に出ているモイラは、フレッシャーを蹴飛ばすと、スポーツジムの正面玄関へと走っていく。


 路上に飛び出してから、ゾンビやフレッシャー達とは、距離を取りながら、賢一も逃走する。



「ギャアアアアアア」


「グルアアアアーー」


「うわあーー!! 食われるぅぅ~~~~!?」


「グアッ!」


「なら、足を動かしなさいっ!」


 白人女性フレッシャーは、滅茶苦茶に体を振り回しながら追いかけてくる。


 正面からは、黒人ゾンビが小走りで、七人を餌にせんと、近寄ってくる。



 先頭を、必死で走りながら、ダニエルは自身の前に、立ちはだかる整備士ゾンビを殴った。


 モイラも、多用途銃剣を振り回して、いく手を阻むゾンビ達を蹴散らしていく。



 そうしているうちに、七人はスポーツジムの曲がり角を曲がった。



「軽トラが見えましたっ! 皆さん、あと少しですっ! 頑張って下さい」


「銃声がっ! みんな、後ろからだけじゃないっ! 市役所にも、連中が集まっているぞっ!」


「何が起きているんだ…………」


「分からねーーよっ! とにかく、今は軽トラまで走るしかねえっ!」


「そうだ、頼むから俺を安全圏にまで、連れてってくれええ~~~~」


 メイスーが叫ぶ中、銃撃音が轟き、市役所の方では、戦闘が行われている様子が伺えた。


 賢一も、軽トラを目刺しながら、マチェットや鉄パイプを握るゾンビ達が走る姿を目にする。



「グルアアァァァァ」


「ぐあっ! しかし…………噛まれる前に、やってしまえばっ!!」


「賢一さんっ! 危ないっ!」


「ほら、ジャン? はやく、アダムスを乗せるんだよっ! 私が敵を食い止めている間にっ!」


「分かった、頼むぞ」


「おい、早くしてくれぇ」


 最後尾を走っていたため、鉄パイプ槍を握るゾンビに、賢一は右側から襲われてしまった。


 彼の右頬を、穂先が掠める中、メイスーは中華包丁で、敵を斬りつける。



 軽トラの荷台では、モイラが仲間を呼びながら、コルト45を射ちまくり、群がる死者たちを殺す。


 ジャンは、アダムス二等兵を、車に上げると、今度はモスバーグM500を取り出す。



「この野郎っ! 槍なんか、内側に入れば怖くはないんだよっ! うらあっ! メイスー、今だっ! 頭を狙うんだ」


「グビャヒャアッ!?」


「は、はいっ!? これで、終わりですっ!!」


 鉄パイプ槍を交わしながら、内側に入り込んだ、賢一は特殊警棒を、敵の顔面に叩きつけた。


 メイスーは、槍使いゾンビの背後から後頭部を、中華包丁で、ザクッと斬った。



「段々と集まって、来やがるな? 津波ラッシュが来たか…………」


「グアッ!」


「ギャアッ!」


「朝の通勤時間てか? ふざけんじゃね~~~~!?」


「いいから乗ってよ、早く市役所まで移動するのよっ!」


「グルアア~~」


「運転は、私がやるわっ! さあ、二人とも? イチャラブは後にして」


 散弾を放ち、ジャンは両手で握るレミントンM870のポンプを引いて、ゾンビ達を倒す。


 愚痴を言いながら、ダニエルは荷台へと飛び乗り、トンプソンを撃ちまくる。



 ハチェットを振り回して、群がるフレッシャー達を、エリーゼは撃退しようとする。


 モイラは、運転席に乗り込み、逃走するため、エンジンを始動させた。



「いちゃラブ言うなっ! メイスー、先に行けっ! 荷台に乗るんだっ!」


「はいっ! 賢一さんも、遅れないで下さいっ!」


「グルアアアア~~~~」


「ギャアアァァァァーー!!」


 ロングナイフや釘バットを握る、ゾンビ達の攻撃を避けながら、賢一は軽トラに向かう。


 彼よりも、先に走るメイスーは、何とか荷台の鉄板を掴むことが出来た。



「賢一、置いてくよっ! さっさと乗りなっ!」


「ゾンビ達は、任せなさいっ!」


「気にするなっ! もういい、乗ったから走らせろっ!」


 ゆっくりと軽トラは走りだし、モイラは運転席から叫び、エリーゼは群がるゾンビ達を攻撃する。


 彼女は、荷台に近寄るゾンビを蹴り飛ばし、向かってくるフレッシャーの頭をスカンジウムで撃つ。



 その間に、賢一も車体後部から飛び乗り、無事に乗り込む事ができた。


 だが、そこへ運悪く、スポーツジムの上から、ジャンピンガー達が勢いよく降ってきた。



「うわっ! じゃまよっ! みんな、確りと掴まってなっ!」


 軽トラで、モイラは多数のゾンビ達を引き殺そうと、速度を急加速させた。



「うわ、揺れるっ! 不味いっ! 散弾を撃っている暇がないっ!」


「うわああああっ! こりゃ、ヤバイぜっ!」


「うっ! 大丈夫なのか? 脚が痛むぞ」


「騒がないで、もうすぐ市役所が見えるから」


 ジャンとダニエル達は、軽トラから振り落とされないように、へりを必死で掴む。


 鉄板に、足を当ててしまい、ズキリと痛みを感じたため、アダムス二等兵は文句を言った。



 だが、市役所の建物が視界に入ると、エリーゼは落ちついた顔で、様子を確かめようとする。


 そこでは、軍人や生存者たちが、ヘスコ防壁から銃を撃ちながら、ゾンビを撃退する姿が見えた。



 しかし、いきなり、ポンッと言う風を切るような音が聞こえたあと、今度は爆発音が鳴り響く。



「砲撃だっ! 迫撃砲を誰かが撃っているんだよっ! これじゃあ、ゾンビ達が市役所に侵入してしたうわっ!」


 軽トラを走らせながら、ゾンビ達を引き殺しつつ、モイラは叫んだ。


 連続で、木霊する砲撃音は、皆に恐怖を与えるだけでなく、市役所の防御体制を崩してしまった。



「うわっ! ゾンビが市役所に侵入してきやがるっ! フレッシャーとジャンピンガー達だっ?」


「鉄パイプ槍、マチェットを持った奴も見えますねっ! このままでは……です」


 砲撃で吹き飛んだ箇所からは、通常のゾンビではなく、知能と身体能力に優れた感染者が侵入する。


 それを見て、賢一とメイスー達は、額から汗を滴しながら戦闘に備えた。



「装甲車も、破壊されているわっ! みんな、軽トラをヘスコ防壁に横付けするから、降りるしかないわよっ!」


「アダムス二等兵は、俺が受けとるっ! ダニエル、頼むっ!」


「分かったよっ! ほら、早く行くんだっ!」


「済まないな? はっ!」


「敵襲ーーーー!?」


「ゲリラが襲撃してきたぞーー!?」


 正面入口に、停車してある、コマンドウ装甲車は、上部からの砲撃で炎上していた。


 仕方がないので、モイラは、ヘスコ防壁が崩れている正面左側へと、軽トラを停める。



 そこに、ジャンが飛び乗ると、ダニエルに搬出作業を手伝うように頼んだ。


 しかし、アダムス二等兵が、彼の肩を借りながら歩きだした瞬間、市役所から声が轟いた。

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