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第34話 市役所での戦闘終了後


 賢一は、ゾンビ達が銃撃されて、ヘスコ防壁から一匹も居なくなると、市役所の中へと向かう。


 その隣では、彼を救った茶髪男性が状況を説明しながら、同じく建物内へと歩く。



 とうぜん、使えそうな物を回収した他の仲間たちも、疲れた体を休ませるために内部に入った。


 警備員たちも、何人かは着いてきて、市役所内の状況を確認しようとした。



「さっき言った通り、沿岸部のホテルは無事だったが、そこから派遣された部隊は、プルケト・イスラム解放戦線の襲撃を受けた? さらに大量のゾンビにもな」


「装甲車やバンは、屋上からのロケット弾や機銃掃射とか? 車輪の音に集まってきた死体に囲まれてね? 私達のピックアップも前輪が、パンクしたわ」


「市内は、ブラックホークダウン見たいな感じか…………しかし、君たちが来てくれて、助かったよ」


「本当、あと少し連中に押されてたら、市役所は動く使者が彷徨う墓場と化していたわね? 流石の海兵隊員でも勝てなかったわ」


 茶髪男性は、賢一たちに車両部隊が攻撃を受けたことを再び話してきた。


 金髪ポニーテール女性も、火炎放射器を背負いながら、ふっくらとした体を揺らしながら歩く。



 民兵による奇襲、ゾンビ達が津波のように押し寄せる姿などを、賢一は脳内でイメージする。


 モイラは、何処からか拾った鞘を腰に下げながら、マチェットに付着した血を洗える場所を探す。



 こうして、彼等は市役所の奥を目指して、広いホールを歩いていった。



「ああ、名前をまだ言ってなかったなっ! 俺は、ショーンだっ! こっちは、リズ」


「他の二人は、ライルズ&スザンナね? 私達さ? 上司の護衛任務を兼ねた慰安旅行中だったんだけど、騒動に巻き込まれてさ」


「それで、仕方なく、ここには現地社員とともに来る羽目になってな…………はあ、しんどかった」


「ええ、せっかくの南国旅行が台無しだわ? 買い物と食べ物の夢がーー」


 ショーンとリズ達は、名前を名乗り、ライルズとスザンナ達も紹介した。



「そうだったのか? 俺は賢一? こっちは、生存者のグループだっ! 今は首都を目刺しながら移動中だ」


「私は、モイラ軍曹よっ! アンタらが来てくれて、助かったわ」


「いや、礼は要らないぜ…………それで、ここの責任者は誰なんだ?」


「市長? それとも、軍の隊長かしら?」


 賢一とモイラ達も、救援に来てくれた四人に対して、軽く自己紹介を済ませる。


 すると、ショーンは彼等に質問してきて、リズも廊下の左右を見渡し、執務室を探す。



「そう言えば、俺たちも市長や隊長は見てないな? 居場所は分からないな」


「隊長なら、戦闘前は見たんだけど、今は分からないわね」


「はあ、困ったな…………俺たちを含めて、警備員の連中は指令を待っているんだが」


「市長は、二階とかの執務室に居るのかしら?」


「ショーン、リズ? あっちじゃないのか? 二階に続く階段がある」


「一階には、執務室なんてないし、行くなら二階よね」


 負傷者や兵士たちで溢れる、廊下を歩きながら、賢一とモイラ達は呟く。


 渋い表情を浮かべながら、ショーンは汗を頬から滴しつつ愚痴る。



 リズも、色んな部屋から飛び出たり、入ったりしていく人々を眺める。


 どうやら、戦闘が終わったばかりで、市役所内は混乱しているらしい。



 ライルズは、廊下の奥にあるT字路に着くと、左側にある階段を見つけた。


 優雅な足取りで、そこに向かって、スザンナは歩いて行こうとする。



「俺たちは休ませて貰う? この有り様だからな」


「彼等も、相手が人間じゃなかったから大変だったでしょうね」


「打撲だ、感染はしてない」


「銃を握るゾンビに撃たれたんだっ!」


「分かった、衛生兵の場所まで行くぞ」


「予備弾薬は?」


「ないっ! 代わりに、手製の地雷を作った」


 賢一は、負傷者たちを運ぶ生存者や兵士たちを眺め、モイラは戦闘で苦戦した彼等に同情する。


 そんな中、黒人兵士は左腕を押さえながら歩いていき、脇腹を押さえた白人兵士は壁に背を預ける。



 何人かの兵士たちが、彼等を両脇から支えながら何処かへと連れていく。


 警備員のような白シャツ姿をした職員が、整備士らしき人物から爆発物を受けとる。



 もちろん、皆の表情は険しく、かなり疲れきっていることが伺えた。



「分かった、それじゃあ、またなっ!」


「また後でね」


「それじゃっ! てか、後で血を洗わないとな」


「バイバイ」


 ショーンとリズ達は、手を振りながら別れを告げると、階段を登っていった。


 ライルズとスザンナ達も、足早に、二人の後を追っていってしまった。



「さて、俺達はどうする? もうすぐ、夕方だ? 映画やゲームだと、ゾンビは夜に強くなる」


 大抵は、夜間になると、アンデッドモンスターが活発化することを、賢一は思い出した。



「地球最後の男とかに出てくる、吸血鬼のようなゾンビとかだな…………」


「今の感染者が、吸血鬼型かは分からないけど、迂闊に出歩かない方が良さそうね」


「夜は、ギャング達の奇襲攻撃も受けやすくなるわ? とても危険よ」


「夜道は、強盗や怪物が出るわよ~~と、婆さんが、いつも言ってたからな」


 賢一から話を聞いて、チーム全体の安全性を考慮して、モイラも彼と同じ意見を言った。


 暗い夜道は、悪人や魔物に取って、人間を襲うには有利な場所である。



 それを、戦場や裏ストリート等で、エリーゼとダニエル達は、嫌と言うほど経験している。


 なので、二人も夜に行動したくはないと言いつつ、疲れきった顔を見せた。



「まあ、夜は移動なしにして、薬局は明日にしよう?」


「あのーー? 甘さんへの連絡は?」


「彼に助かった事や、新種のゾンビが登場したのも連絡しないとならんぞ」


 夜間の行動は、皆で中止と決めたため、賢一は薬局へ行く用事も明日にしようと考えた。


 メイスーとジャン達は、甘への報告を思い出して、何気なく呟いた。



「ああ、今する? 甘…………聞こえるか? 新型のゾンビが出たんだ」


『聞いてるぞっ! 援軍が間に合ったんだな? 新種のゾンビが出ただと? 大柄なのはマッスラーだっ! 武器を持っているのは、ウォーリアーだ』


 賢一の声を聞くと、甘は新しいゾンビに関して、説明しようとした。



『マッスラーは、筋力が変異を起こして、かなり発達している? ウォーリアーは知性が残っているから、武器を振り回せるから危険だ? 特に、非免疫者たちは、奴らの血濡れた刃物には気をつけないとな』


 簡単な説明だが、新たなゾンビの名前と特徴は、甘が教えてくれた。



「あと、拳銃を撃つ奴とか? カエル見たいな爬虫類型のゾンビも出たぞ」


『銃を撃つ奴は、報告を聞いている…………それも、一般ゾンビに少しの知性が残っているだけだ? しかし、ウォーリアーほど機敏に動けはしない…………他にも、ナイフを投げたり、振り回したりするから注意するんだな』


 賢一から、銃器を使うゾンビのことを聞いて、甘は冷静に対応作を教える。



『カエル型は、死体を調べないと分からないな?  報告にあった強酸を吐く奴かも知れない?』


「ああ、たぶん、それだっ! それ」


 甘に対して、賢一は強酸を吐くと聞いて、自分が見たのも同じだと直感した。



『ふむ? じゃあ、コイツの仮名はスピットゲローにするっ! 後で、研究チームとともに死体を解剖して調べよう? しかし、今日はご苦労様だったな』


 カエル型ゾンビの名前が決まり、甘は皆に対して、労いの言葉をかけた。



『残りの拠点は、明日に成らないと調べられない? 麻薬の密売人だった囚人の一人に聞いたら、田舎の村では夜にゾンビが凶暴化していたらしいからな』


「やっぱりか…………」


 夜になると、ゾンビが凶暴化すると聞いた瞬間、賢一は、マジかよと頭の中で思った。


 まさか、自分たちの予想が当たるとは、思ってなかっため、彼は面倒だなと考えた。

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