蘭との姉妹デート数日後。その春休み終盤の事。
リビングダイニングでダラダラと過ごす
だが
……この2~3日、何となくお兄ちゃんが冴えない感じ……あれから1ヶ月、今になって薊さんが去った事、身に沁みて来たのかな?
少くとも私は今、あの人の居ない寂しさを感じている。お兄ちゃんストーカーの私だけが分かる程度の変化だけど、目の焦点が合っていない時間が増えてる。何かしてあげた方が良いかな……?
―――深優人がリビングのソファーの片隅で耽っている。
オカシイ……昨日、今日と有り得ないフラッシュバックが……でもこんな事って……
気付かれぬように心配して様子を窺う
そうこうしている内に昼近くとなり 「ピンポーン」 とインターホンの呼び鈴が鳴り響くと、即座に母の声。
「
「は―い」と、玄関側に最も近かった澄美怜が駆け付けてロックを解除してドアを開けた刹那、あたかもスローモーションの様にさえ感じる程の衝撃的な光景が視界に入って来た。
『!!!!!!!!』
―――絶句し、余りに動転した
「あ、あれぇ―……もしもーし……笑」
再びゆっくりとドアが開く。困った様な、嬉しい様な、複雑な顔の
「お帰りなさい、
「ただいま、澄美怜ちゃん。嫌われたかと思ったよー。フフフ」
溶かされるような笑顔をのぞかせる、そこには天から舞い降りた使徒か妖精かと見紛う程の美しい女の子が立っていた。
真っ白い肌、整った小さな顔、淡めのマロンにほんのり銀色をコーティングしたようなアッシュベージュの長い髪、モデルそのものと言っても過言ではないスラリとした細く長い手足と折れそうに細い腰、そしてガラス細工のようなブルーグレーの瞳、更にはフルートの音の様な清らかな声。
そう、いつも憧れていた微笑みが、この3年で更に美しくブラッシュアップされてそこに立っていた。
「澄美怜ちゃん、見ない間に凄いキレイになったね。皆さんお元気にしてた?」
「う……うん……あ、どうぞ入って……
「もちろん。はい、お土産」
「ありがとう……でも驚いた。永住だろうって言ってたから……」
「私もね、驚いてるの。父の日本支部の再配属が急に決まったから」
「メールとかで教えてくれたら。……良かったら上がって」
そこへ部屋に戻ろうと階段へと向かう
二人の時が止まる。
「
「
互いに1歩近づいた。更に切ない声となって絞る様に名を呼ぶ百合愛。
「……深優人くん」
二人は瞳にいっぱい、溢れそうなそれを落とさぬよう堪えつつ更に1歩近づいた。
「会いたかった……」
心の中で
やがて眉はひそめられ、つらそうに下がる。
突如呼吸が大きく乱れ、震える声で
「会いたかったんだよっ!! 」
いついかなる時も優しく穏やかな姿しか見せなかったこの人が、語気荒く吐き捨てた。小指は強く握られ、突っ張る腕から反り返った手首は小刻みに震えている程だった。
溢れた物は頬から雫となって落ちる。
「俺だって!……どれだけ……」
もうそれ以上言葉にならなかった。
肩を震わせ抱きしめ合う二人を前にして、ただ戸惑い、居場所を失くした
自分がいたたまれず直視も出来なくなり、無言のまま蒼い顔で