「でもちょっと腰がキビしそうだから次はおんぶガエルにした方がいいんじゃない?」
『!!!』 澄美怜の目がギラリと輝いた。
……蘭ちゃん、それグッジョブよ!
「じゃ、もう一度乗ってみるね」
急に積極的になる
……この合法的スンスン。はぅ――っ、そしてこの胸のドキドキがモロに伝わるカンジ。チョト、いや、かなりエロくない?!
こ、こんなに密着したの初めてかも……ああ、幸せだ~……いや、これはお兄ちゃんの方が幸せなシチュ?……なら見返りに6パック触るぐらい良いよね?! 良いよね~~~~っっっ!!
等と考えながら既にまさぐってたりと、暴走状態に。二十回ほど行った所で蘭も乗っかってきて三段おんぶガエルに。そこから更に2回目で笑いながらドシャッと潰れた。
「さすがに無理ーっ、はぁ、はぁ……」
と
次はバーベル替わりにお姫様抱っこ風でア―ムカ―ルに挑戦。兄による初・お姫様抱っこに、もう萌えまくる
上腕二頭筋をプルプルさせながらも持ち上げる度に顔同士が限界まで近づく。頬に唇が当たっちゃった、なんてわざとらしく言い訳するつもり満々。蘭が見てるというのにもうリミッターが外れっぱなし。僅かに唇が尖っている。
はぅ~、やっぱお兄ちゃんって細目なのに力もちだ~。 惚れてしまう~……とっくにだけど!
「あっ、今どさくさに紛れてチューした! お姉ちゃんずるい!! 」
「わざとじゃないって! キャハハ……」
『じゃ次、蘭も』と言ってすぐさまマネて、唇を兄の頬に近付ける。だがもちろん兄への異常な独占欲は相変わらずの
ギリギリ隙間に人差し指を挟んで蘭の行動を阻止。蘭の唇を押さえたまま、
「ダメよ、蘭。したいならそう言う事はこのお姉さんにやりなさい」
「……いいの?! 」
「え?! ……(やばっ、蘭ちゃんが益々変態になっちゃう!)」
「お姉ちゃ~~~~~んっ!」
「ダメ―――ッ」
兄の周りを逃げ回るスミレ。
「お兄ちゃん、助けてーっ、蘭に襲われる~~っ!」
まるで小学生の頃にやったふざけっこのように大騒ぎ。散々ドタバタグルグル回ったものの、兄の裏切りで後ろからハグするように捉えられ、『ダメーッ』
遂にそのスミレの頬は蘭の唇の餌食となる。
『ブチュー』
『ヤハハハハハ、く、くすぐったいー』
と、暴れても逃してもらえず、逆サイドにも
『こっちにもブチュー』
『イヤーン』
床に転がり大爆笑しながら全員力尽きてグッタリして「笑い過ぎて苦しー」と大騒ぎ。
ようやく落ち着いて、『あー面白かった……』と笑顔と虚脱状態の二人が部屋から出て行く間際、蘭が兄へ親指を立てて作戦成功の合図。勿論成果は有ったようだ。
―――その深夜
それでもやはり澄美怜が神妙な雰囲気で
「ごめんね、せっかく気を遣ってくれて……私も持ち直せたと思ったのに……恐怖のパニックは消せたの。……でも黒服男に蘭が乱暴にされて……例の『恨みの気持ち』が湧いて来て……止められなくなりそうで……それが怖くてイヤで……鎮めて欲しくて……」
「いや、変にガマンしない方がいい」
「……でも本当に凄く助かったの……あれが無かったらもう……ありがとう」
「それは蘭に言ってあげて」
「うん。……蘭ちゃん……私の大切な、大好きな妹……」
「そうだね。それに今日は澄美怜もホント良くやったよ。もっと誇りに思っていいんだよ」
「うん……」
……あのテーブルに落とした涙……守れて良かったな……
それを想いながら安堵の溜め息をつくと、更に癒しの力がフワリと流れ込んで来る。
その瞬間ス卜ンと眠りに落ちた。