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第三章 【急】全てを懸けて

第70話 第一、二章総括 そして……




<ここ迄のおさらい>



当作は [序・破・急] の三部構成です。


当話では、これまでをまとめにより激変の第三章への準備をしたいと思います。




◆第一章―― 【序】目覚め

兄に恋人が出来てしまう。この人が誰かのものになる事、それは淡い恋心を抱き始めていた澄美怜すみれにとって、どうしても有ってはならない事でした。それは命にかかわる事。


【 妹の謎の死への願望に歯止めをかけ、兄のトラウマを満たす相互の約束 】

 ・癒しの力で必ず守るからずっと生きてて欲しい

 ・そうしてくれて、望んでくれる限り死なずにいる


この事は澄美怜にとって永遠の誓いに相当する事でした。つまり生涯パートナーでなければ成しえないと。

しかし兄妹関係は法的にも社会的にも結ばれることの許されない仲であると、約束後に知った。


一方、兄は妹だからこそ恋愛破綻もなく愛し続けることが出来る存在だとして妹へ秘めた想いを封印して約束を貫こうとする。

だが育ってしまった恋心をぶつけて来る妹。裏腹な本心を抑えつつ妹をいなし続け、それでも守ろうとする兄。


そうした澄美怜すみれの持つ特殊な事情は兄の癒やしの力により安定的に抑えられていた。

しかし、薊というライバル的な存在により不安定になり、兄の抑止力を越えて現れるように。

それによる症状も少しずつ明かされていきました。


・ 命を奪いに来る黒い氷の悪夢ナイトメア

・ 消えたい衝動

・ 黒い感情と破壊衝動


兄は禁断の恋から遠ざかろうとあざみを恋人として選ぼうとします。

兄を失えない妹はその依存度をどんどん高め、もはやその気持ちを隠そうとせず、遂に告白して仕舞います。


こうして仲良しだった薊との恋のぶつかり合いに翻弄されながらも、真正面からあざみと向き合った事で最後には理解者となって関係が一段階深化、友情と共に初恋の波乱を乗り越える所が描かれました。


そしてこの人により、明確に恋が芽生えたことを自覚した澄美怜すみれでした。




◆第二章―― 【破】愛の真実

ライバルが去り、穏やかな日々が始まると思っていた澄美怜すみれに極大のピンチがやって来ます。

それは兄以上に慕う存在、そしてこの世で最も兄に似つかわしい女性、百合愛ゆりあの帰国でした。


深優人みゆと百合愛ゆりあはその前世の記憶のトラウマ持ち。


恋人に命を救われ、逆に大切なその人を救えなかった深優人みゆとの前世。 故に大切なものを二度と失いたくないというトラウマを持つ。


一方、最も信頼していた夫に裏切られて絶望の中で死に、誰も信じられぬ子として生まれて来た百合愛ゆりあ

幼なじみとして出合った二人は『心が通じてしまう異能持ち』として自覚し、互いの誠意と揺るぎない思い遣りに満ちた行動を示し合う内にやがて恋人として愛を伝え合うように。


生まれながらに傷付いている心優しき幼馴染みの百合愛ゆりあをどうしても救いたいと願う深優人みゆと

心が通じるが故に百合愛ゆりあは、そんな誠意と偽りのない心を誓う深優人みゆとこそが世界にただ一人、信じられる存在となり、一生を捧げる覚悟を伝えた。

それは正に双方にとって二重の特異さで心の鍵穴がピッタリ合ってしまった、『運命の人』と呼べるものでした。


半ばそれを知る澄美怜すみれは、その二人の関係の復活を目の当たりにして絶望に打ちひしがれます。生涯守られ続ける約束が潰えてしまうと。


本来の澄美怜すみれであれば幼き頃から兄と同等に大切にしてくれて憧れていた絶対的存在の百合愛ゆりあへと全て譲れようものだが、何故か魂が深優人みゆとを手放す事を諦めさせてくれなかった。


それに苦しみ続けた末に、更に自分の出生の秘密――兄とは血縁関係にない事――を知った澄美怜すみれは、考えを改めます。

兄妹関係という檻にどうにか閉じ込めていた気持ちが放たれて、自由に愛を叫ぶ事のできる立場となってようやく自分の心が何を求めていたかの本質に気付きます。ある意味でこれは恋ではなかったという事に。


あの約束の日、死を求めてさ迷う自分に対し、命をかけて存在を守りその後も癒しの力で守り続けてくれた兄の願いと約束を何より大切にした澄美怜すみれ


死なずにいる事がこの人への誠意であり、だからこそ生きて、命を預けた。だがそのためにはあの力で守られ続けねばならない。生涯パートナーとして。それ故に誰にも譲れなかったと言う事を理解した。


しかし百合愛ゆりあの復活により、これからの自分の存在は、むしろ彼を苦しめるだけのものだと判断し、消えて行く覚悟を決める。

 それは自分の人生に悔いを残さぬよう、これ迄の感謝とケジメとしての再告白をしてこの世から去るという事でした。


しかし深優人みゆとから澄美怜すみれへの真の想いを吐露され、その心は激しく震えました。

絶対的存在の百合愛ゆりあに引けを取らぬ程に好かれ愛されていたと言う事を告げられた。


これこそがこの時の澄美怜すみれにとっての全肯定であり全目標だったが故に激しく満たされ、遂に自害を思い留まる事になった。


仕切り直した澄美怜すみれは新たな関係――世界一愛されている義妹――として歩み出す決意をしたのでした。




そしていよいよ最終章です。

この後、更に大きく事態が動きます。


――澄美怜すみれの恋と愛の行方。

ぜひそれを見届けてやって下さい。





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