広間の部屋にて。
私は広間の部屋でユージニスの第一王女。
シル·ユージニス様と顔を合わせていた。
銀髪の透き通るような美しく長い髪。
エメラルドのような宝石に似たキラキラとした瞳。美しさとあどけない愛くるしさをした顔立ちは思わず誰もが護ってあげたくなる程だ。
(どうして王女様は私に会いに来たのかしら…)
私はシル王女を見る。
彼女は少し緊張した面持ちをしていた。
何故エリオット様が大切にされていた妹が私に会いに来たのか分からない。
私と彼女は面識は全くない。
今回が初めてだ。相手がクラリス様やクライド様といった王族ならば理解出来るのだが。
どうして……?
いくら考えても心当たりがない。
「あの…」
「わ…私からお兄様を奪わないで下さい!!」
ガタッと突然シル様は立ち上がり震える声で顔を真っ赤にはして私に強く言放った。
「落ち着いて下さい。王女様は誤解されています。私はエリオット様を奪おうだなんて、これっぽっちも考えておりません」
どうして彼女がそのような考えに至ったのか分からないが、取り敢えず興奮しているシル様を落ち着かせて彼女の誤解を解かなければならない。
私は彼女を宥めようとするが、その前にシル様が強く言放った。
「嘘をつかないで!悪女のあなたはお兄様を手に入れる為に無理やりお兄様の操を奪おうとしたと知っているのよ!既にこの国の国王陛下、騎士までもたらし込んで。節操がない悪女だって!」
「私は処女です!!そんなこと出来るはずないでしょう!!」
私は思わずシル様に対してキレてしまった。
私の言葉にシル様や近くにいたカミラまでもが驚いた顔をしている。
羞恥心が押し寄せて来る。
だけどあのまま絶対に誤解されたくなかった。
「あ…その…申し訳ありません……」
私の言葉に納得してくれたシル王女は椅子に座り直した。
どうやら分かってくれたのかもしれない。
ちょっと恥ずかしかったけれど…。
「もしかしてですが、王女様は私とエリオット様のことを誰かから聞いて、こうして訊ねに来られたのですか?」
私の言葉にシル様はこくりと静かに頷いた。
「ええ。そうです。アリス様とのことはクラリス様から手紙を頂いて知ったのです」
「クラリス様からですか…」
私は王女様の言葉を聞いて思わず呟いた。