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第42話 アリシア、エヴァちゃんと打ち合わせをする

 目が覚めて、まず最初にしたことは、隣で眠るラダリィを確認。


 今度はちゃんといた。


「ああ……おはようラダリィ……」


 良かった。

 ここは現実の世界で確定ってわけですね。

 それにしてもさっきのは夢……にしてはリアルだったなー。まあ、夢っていうか、そういう意味ではリアルなんでしょうね……。ノーアさんが懐かしくて、ノーアさんの夢を見たわけじゃなくて、ホントにノーアさんがわたしの夢に入り込んできたって意味でリアルな夢だった、と。


 んー、じゃあ、やるしかないか。

 言われた通りダミーを用意して、わたし自身はホントの調印式会場へ……いや、だからそれどこなの⁉


≪話は聞かせていただきました≫


 うぉ、エヴァちゃん⁉

 おはよう? 何の話を聞いたの?


≪さきほど私のところにノーアさんがいらっしゃいまして、軽く打ち合わせをしました≫


 なんだ、エヴァちゃんとも打ち合わせをしていたのね。それなら、作戦説明とかはしなくても良さそう?


≪はい、問題ありません。アリシアにも直接伝えたいということでしたので、パスをご用意して、アリシアの意識の中に入っていただきました≫


 犯人はエヴァちゃん。

 知らない人に向けて、いきなりセキュリティホールを開けたらダメでしょ……。


≪アリシアの記憶データ上の「賢者の石」と完全に一致しましたので、知らない「人」ではありません≫


 人かどうかの定義を聞いているわけではなくてね?

 まあいいわ。

 エヴァちゃんがパスを繋がなくても、どうせ自力でこじ開けられていたでしょうし。


 でもあれね。時系列が逆だったのね。

 エヴァちゃんが先に話を聞いていて、要約した話を夢の中でわたしに伝えてきた、と。


≪私のほうが先に説明されたので、私が上の立場ということですね≫


 そういうのに上とか下とかある?

 まあ良いから、結局ホントの調印式のメンバーはどこ集合なのか教えて。


≪仕方ありませんね。特別に教えてあげましょう≫


 なんで上から目線なのかわからないけど……まあお願いします?


≪「ダーマス」から南へ16歩、東へ25歩、もう一度南へ56歩≫


 いや、ちょっと待って?

 お宝探しじゃないからさ、そういう暗号的なのは……。


≪それから西へ67532歩≫


 いやいやいや。

 もう最初の10歩とかいらないでしょ。

 普通に西のほうだよね?


≪……はい≫


 なんで不貞腐れてるのさ。


≪座標はここです≫


 最初からそれで教えて?


≪アリシアなんてキライ≫


 ふーん、そう? それならそれで別に良いけどー。

 ビジネスライクな関係でいましょう。わたしとしては、索敵・防衛システムの仕事をしてくれていれば、エヴァちゃんと仲良くする必要はないしー。


≪ウソ。好き≫


 メンヘラ彼女か。


≪アリヘラには負けます≫


 だからアリヘラって言うなっていつも言ってるでしょ!

 最近は大人になったから、情緒も安定してきたもん! メンヘラしないもん!


≪そうですかぁぁぁぁぁぁぁぁ≫


 腹立つわぁ……。


 じゃあ、もう作戦がわかっているならここでの打ち合わせはいらないよね!

 わたしの振りをして、うまいこと反社会的勢力をかわしておいてよね。


≪反体制派勢力です。反社なのかは知りません≫


 はいはい。

 似たようなものでしょー。

 どうせ向こうはわたしの顔なんて知らないんだし、適当にニコニコして、調印式のまねごとをしていれば、敵が事を起こすはずだから。


≪私が倒してしまっても構わんのだろう?≫


 いや、倒しちゃダメでしょ。

 調印式が失敗したと思わせないといけないんだし、力ない感じで逃げるのが正しい動きなんじゃないかな?


≪私はそれで良いですが、ナタヌさんが黙っていないと思いますよ≫


 それはうまいこと説明してよ……。

 いくら脳筋プリーストでも、作戦行動中くらいはガマンできるでしょ。……え、できるよね⁉


≪五分五分≫


 えっ、成功率50%しかないの⁉

 ナタヌを置いていくのは不安だね……。


≪大変不本意ですが、ナタヌさんに暴れられると困るので、アリシアが引き取ってください≫


 んー、了解。

 じゃあこっちで連れて行くわ。

 スレッドリーとラダリィはそっちでお願いね。


≪別の意味で面倒なので、殿下も連れて行ってください≫


 別の意味って何よ……。

 まあ良いけどね。


 わたし、ナタヌ、スレッドリー。

 当然こっちにスーちゃんとノーアさんもいるだろうし、5人か。けっこう大所帯になったなー。


≪こちらは2人で、少し淋しいです≫


 自分で人を減らしておいてなんなのさ……。

 じゃあスレッドリーをそっちに。


≪いりません≫


 いらないって言ったらかわいそうでしょ……。

 まあ、あれでも王子だしなー。王子に何かあったら困るし、こっちに連れてきて守っておいたほうが安全かな。


≪そうやって私よりも殿下を選ぶんですね! 悲しいです≫


 そういう話じゃなかったよね⁉

 そっちこそ立派なエヴァヘラじゃないのさ。


≪エヴァヘラ……アリヘラと比べると語呂が悪いです≫


 どっちも変わらないって……。


≪私はラダリィさんとイチャイチャしているので大丈夫です。そちらもごゆっくり~≫


 調印式ってそういうのじゃないからね?


 たぶんだけど。


 なんかいろいろ面倒になってきたね……。


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