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第12話 禁断の扉

名前 園田 大勢 

職業 その他

レベル 3

HP    135/135

MP    75/ 75

力      高3       我慢      軟弱

頭   非常に弱い        器用さ  ぶきっちょ

動き  気持ち悪い       

おうし座のあなた   第11位

今日はいまいち何をやっても上手くいかない日になるでしょう

あまり出歩かない方が良いかも?

ラッキーアイテム    ドラゴンの逆鱗げきりん

EXP          2/120


【固有スキル】

覚えることが出来ません

【スキル】

覚えることが出来ません。

【称号】

「マルマールの使徒」

(???)


【装備】

「年季の入った果物ナイフ」

「鍋敷き用の皮の胸当て」

【装備ステータス】

「その他」

【装備スキル】

「対物理防御(小)」(常時)

「命中率上昇(小)」(常時)



 もう森まで出歩いて来てるけどね。

 それに、そんなラッキーアイテム持ってるやつなら、それまでも大体のこと上手くやってるんじゃね?

 てか、おみくじどこいった?

 いや、そもそもおみくじって何なん?

 俺もちょっと楽しみにしてんじゃねーよ。


「またタイセイさんが大きな独り言を……」


 またタマちゃんが可哀そうな人を見る目で俺を……。


 逆にそれで、よくこんな俺と一緒に行動しようと思ってくれてるよね?

 天使か?



 相変わらず、ステータスは出鱈目でたらめな表記でよく分からない。

 でも、レベルが上がると装備スキルスロットなるものが増えているみたいなので、どんどんスキルは増やしていけるみたい。

 ただ、現状でいくつのスロットがあるのかは不明。


 それと、ドロップしたステータスは、一旦ステータスインベントリに収納されるみたいで、すぐに装備する必要は無さそう。

 毎回確認して、害が無さそうなら装備するって感じかな?

 今はどんな事になるか分からないから、少しでも慎重に行動しないとだ。


 あと、一度ステータスを取った魔物がどれくらいの強さだったのかっていうのを見ることが出来るのは助かる。

 自分のステータスは数値化されてないけど、タマちゃんのステータスと比較すれば、自分が大体どれくらいの強さかを知る指標になりそうだ。

 本当なら、昨日のスライムのステータスも見てから装備してたら、今回のゴブリンとの力関係が分かったんだけど……なあ、ナビさんよ?


『称号【逆恨みはあ?】の獲得条件を満たしました。獲得しますか?YES/NO』


「いや、逆恨みちゃうやろ!?それとルビおかしいって!!NO―!!」


『……本当に?自分の胸に手を当てて考えてみてください』


「しつこいな!?ゴメンて!!」


 そうして、いろいろと検証を終えた俺は、遥か彼方からこっちを見ているタマちゃんとのいろんな意味での距離を取り戻すべく、真面目に薬草を探したのだった。



「昨日よりは早く帰れそうですね」


 今日は良いペースで依頼にあった数の薬草を集め終わった。

 俺も二回目ということで少しは慣れてきたのかもしれない。


「タイセイさんも少し慣れてきて、今日は2つも見つけることが出来ましたし」


 依頼の数は20。

 ごめんなさい。全然慣れてきてなんかないです。

 ちなみに昨日は1つも見つけられませんでした。


 薬草を探している間も、何匹かのスライムとゴブリンと遭遇したのだが、そいつらからステータスがドロップすることはなかった。

 確率なのか、同じ魔物からは一度しかドロップしないのか……聞く相手がいないので何とも判断のしようがない。


「私もレベルが4に上がりましたし、これもタイセイさんが一緒に依頼を受けてくれたおかげです」


 他の人は全回復とかしないらしいので、傍目はためからはいつレベルが上がったのか分からない。

 そういえば、途中から蹴り倒していたスライムを、グーで殴りだした気がする。

 あの辺りか?

 そうだとしたら、最後の方にゴブリンを殴って倒してたのはどうかと思う。

 弓矢使えよ。

 【弓使いアーチャー】の誇りはどこいった?


「強くなったのは見ていて分かったよ。ゴブリンとかも弓矢使わずに殴ってたもんね…」


 一応確認しておかなければ、後々ヤバい気がしたので、俺は何食わぬ顔でそう言った。


「そうなんですよ!!今まで倒せないと思っていたスライムとか、ずっと矢で倒すしか無理だったゴブリンとかでも、素手で倒せるようになったんです!!――殴った時の、あの拳に残る感触がたまらないんですよねえ」


 マズイ!!やはりタマちゃんは開けてはいけない禁断の扉を開けてしまったようだ。

 うっとりした目で右手を見つめている。

 やはり、格闘家的な職業に転職させた方が良いのか?

 むしろ症状を悪化させる気もするけど…。



「冗談ですよ。冗談。矢もただじゃないですからね。使わずに済むならその方が良いかな?と思いまして」


 少し俺がドン引いていたのが分かったのか、タマちゃんは軽い口調でそう言った。


「……そうだね。でも、それなら昨日言ったみたいに、短剣みたいなのを買った方が良さそう」


「あ、そうですね。昨日は街に帰るのが遅かったから行けなかったですけど、今日は帰ったら見に行ってみます」


「うん、その方が良いと思う……俺も付いていくよ」


 でも、そう言ってる間も、タマちゃんが自分の右拳を見つめている表情は変わらなかった。


 転職するしない別にして、俺の頭がトマトのようになる日が来るかも知れない…。


 今後はタマちゃんに出来るだけ優しくしようと心に誓ったのだった。


『【臆病者チキン野郎】という称号もありますが、【余命僅かタウントダウン】とご一緒にいかがでしょうか?』


 どちらもいりません。


 今日はよくバリューセットを勧められる日だなと思った。



 お祓い行こうかな?





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